日本企業で進むRPA導入、「働き方改革」の加速も期待

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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるロボットによる業務自動化への取り組みが日本でも進み始めている。

「デジタルレイバー」「仮想知的労働者」などとも言い換えられ、人間の知能をコンピューター上で再現しようとする人工知能(AI)や、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を採用して、いわゆるホワイトカラーの業務のなかでも、主にマニュアル化が可能なデスクワークを自動化していこうというものだ。

RPA導入する日本の大手企業

では、実際に日本ではどのような導入事例があるのだろうか。例えば2017年7月、アクセンチュアと共同で、三井住友海上火災保険が全社的なRPAの導入を発表している。アクセンチュアが開発したPC操作分析ツールを活用し、数百におよぶPC作業の詳細分析をした結果、その作業の約2割がRPA導入で自動化できる可能性があることがわかったという。

これまで同社は、社内からの個別リクエストごとに、ロボットが自動でPC作業を行うツールを自社開発し、社員や代理店が使うPC上で稼働させてきた。しかし今回、アクセンチュアの最新分析ツールと、同社のデータ分析ノウハウを活用することにより、個別リクエストごとのRPA化ではなく、全社的な業務の中からRPAに適した業務を洗い出すことが可能になったという。

また、同じく今年7月、大和ハウス工業もまた基幹業務にベーステクノロジー「BizRobo!」を活用したRPAの導入を決定している。同社のRPAを適用する要件の定義やソフトウェアロボットの開発は、アビームコンサルティングが支援して行われるという。

大和ハウス工業については、RPAの導入にあたり「働き方改革の推進」「内部統制業務の効率化」「法令順守、コンプライアンスの強化」「連結決算の生産性向上」「日常会計の生産性向上」「経営管理の高度化」「情報収集のコスト削減とスピード向上」の7つの業務領域を選定し、その適用が進められてきた。

このうち「働き方改革の推進」に関しては、その背景として勤怠状況の多面的な実態把握が求められる中、勤怠情報を網羅的に自動取得してポリシーにのっとったチェックや分析を実施するソフトウェアロボットを導入。問題点の見える化と改善を進めるという。

また、法令順守とコンプライアンスの強化では、建設業界における社会保険加入率向上が求められる中、全社で起用する数千という協力会社の社会保険加入状況を定期的に可視化するため、情報集計、分析業務を自動化する、といった具合だ。
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文=千吉良美樹

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