世界各地に現れる謎の穴「シンクホール」発生のメカニズム

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巨大な陥没穴が突然、ブラジルの農業地帯の小都市に現れ、住民らはその光景に驚いた。すり鉢状の穴の直径は65フィート(約20メートル)もあり、底なしの深さのように見えた。

その巨大な穴が出現したのは、ブラジルのミナスジュライス州にあるコロマンデルという人口28000人の小都市だ。コーヒー、大豆、トウモロコシなどの栽培が主な産業だが、その地域は良質な石灰石の産地としても知られており、それがクレーター発生の原因になったと見られる。

ウベルランディア連邦大学の地質学者たちが現地を訪れて出した結論は「地下の岩盤が崩落したことでシンクホール(陥没孔)が発生した」いう見立てだ。米国のフロリダ州で石灰岩の岩盤が州の大半に広がっているのと同じように、コロマンデルも崩れやすい石灰岩の上に位置している。

シンクホールは、東南アジアのカルスト地形のような絶景を生み出すこともある。地面のほとんどが陥没してしまった結果、尖塔のような岩石群が立ち並ぶ地形になるのだ。雨に含まれる酸性物質が地中に染み込むことで、長い時間を経て炭酸カルシウムをカルシウムと二酸化炭素、そして水に分解していく。

彫刻家の多くが石灰石を用いないのはそのためで、大理石とは違って長い時の試練に耐えられないからだ。石灰石が溶け落ちると地中に空間が残され、その上にある堆積物の重量によっていつかはその箇所全体が崩落する。それがシンクホールになる。

今回の穴を発見した地元民たちのなかには、すり鉢状のこの穴が隕石の衝突でできたのではないかと考える人も居た。だが、大学教授たちは隕石衝突説を真っ向から否定する。

「隕石ならば、土砂が周囲に散乱しているはずだ。表土が吸い込まれていることから、隕石の可能性はない」

住民や家畜が穴に落ちて怪我をしないように、現場は立ち入り禁止になっている。この付近には「ポッソ・ヴェルデ」(「緑の井戸」という意味)と呼ばれる湖がある。これも、古いシンクホールが湖になったものなのかもしれない。

編集=上田裕資

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