ビジネス

2017.12.03

経営課題を「働き方」で解決する、日本で唯一のCWOの姿

角川素久 Sansan CWO人事部長

「働き方改革」が注目されるはるか前から、「ワークスタイル」を経営の重要戦略と位置づけた企業があった。その企業に4年前に誕生した、CWOとは。


「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」をミッションに掲げるSansanには、日本で唯一の変わった役職がある。CWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)だ。

平日の勤務を休日(土日・祝日)に振り替えることができる「どに〜ちょ」。特定のツールを用いて自分の強みを理解し、社内で共有する「強マッチ」。子どもの保育園料を全額補助する「MOM」……。こうしたユニークな人事施策を設計するほか、オフィスデザインも考える。

CWOを務めるのは角川素久。創業メンバーのひとりだ。

「私の仕事は人事や総務と似た部分がありますが、大きく異なるのは“働き方”の視点を持って物事を考えていること。例えば、オフィスデザインも総務が考えるとキャパシティやコストダウンが優先されてしまいますが、CWOが担当することで社員の働きやすさをもとにデザインを考えられるわけです」

就任のきっかけは4年前に遡る。徳島県・神山町に開設したサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」の今後を巡ってのことだ。同オフィスはエンジニアの生産性や創造性の向上を目的に、IT企業としては初めて神山町に開設された。

しかし、定量的に効果を測ることが難しく、役員陣の間で「本当に生産性が高まっているのだろうか?」という議論がはじまった。その結果、働き方革新を目指す企業として、自分たちの新しい働き方へのチャレンジも経営レベルで取り組むべきだと改めて整理。その意思表示としてCWOという役職をつくり、神山ラボの継続を決定した。「働き方改革」という言葉もない時だ。

以降、角川は、オフィスデザインや新しい人事制度の立ち上げを担当。役員会で出た経営課題に対し「働き方」から解決を図っている。

CWOとして実行した施策は経営上、プラスの効果をもたらしてきたのだろうか。

「正直なところ、効果を数字で検証するのは難しい。でも、重要なのは選択肢がたくさんあること。一人一人が自分に合った働き方を選択できれば、自ずと生産性や創造性は上がっていくんです」


角川素久◎1999年慶應義塾大学環境情報学部卒業後、三井物産系列の大手コールセンター・もしもしホットライン(当時)で、営業、経営企画などを担当。2007年中小企業診断士登録。同社退職後、創業メンバーとしてSansan設立に参加。名刺データ化オペレーション部門、管理部門、広報部門、人事部門等を歴任。13年よりCWO就任。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN CxOの研究」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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