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地方発イノベーションの秘訣

(左)500 Startups パートナーのザファー・ユニスさん、(右)神戸市 久元喜造市長

シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル(VC)と日本の地方自治体は一緒に仕事ができるのか? 本来混ざり合うことがない500 Startupsと神戸市による“水と油”の異色タッグは、偶然の出会いから始まった。

2015年6月、神戸市の久元喜造市長は、同年に始めた「起業家支援」や「オープンガバナンス推進」(データとテクノロジーの活用によりオープンな行政及び新しい公共サービスの枠組みを構築すること)における最先端と現場を知るために、サンフランシスコを訪れていた。

いくつかの著名なVCに意見交換を申し入れると、市長が訪問したいと伝えてもそのほとんどからは何の返事もない。日本のいち自治体トップに会っても何のメリットもないと判断するのだ。ところがその中で、世界トップレベルのシード投資ファンドとして世界60カ国、1800社以上に投資する500 Startupsと話ができることになった。創業したばかりのスタートアップにいち早く投資し、同時に起業経験者らがビジネス成長を支援する。すると一定割合の企業が急成長していく、これを繰り返すのがシリコンバレーのVCモデルだと彼らは語った。

そのミーティングの終盤、500 Startupsの幹部が日本での活動に関心があると口にした。世界各地に自らのノウハウを輸出し、米国西海岸以外でのエコシステムを構築するサポートを検討しているという。そこで、神戸をそのモデルケースにできないかと考えたのだ。

出張ののちに手探りで協議を始めたが、久元市長が早い段階で可能性に掛けてみようと判断した。これは協議を進める最大の原動力となった。しかし、2016年プログラム開催に関する覚書(MOU)の締結までは、実に6か月を要することになった。


プログラムの一環で、500 Startupsのサンフランシスコオフィスに日本の学生も派遣された。

カルチャーが違いすぎる

2016年にプログラムを始めるまでに一番大変だったのは、そもそも役所と民間というレベルの話ではなく、日本とシリコンバレーの仕事の進め方が全然違っていたことだ。神戸市職員として、現在も500 Startupsのサンフランシスコオフィスに派遣されている三嶋潤平さんはその違和感をこう語る。

「朝行くと自分以外誰もオフィスに出勤していない。昼食も一人でとる。夜に仕事を終える時間になっても誰も来ない。ただ、チームメンバーにメールを送ると即座に反応がある。一体どこで働いているのか……」

ここまで文化の異なる団体間の交渉は困難を極め、合意に至るのは難しい。神戸市と500 Startups側との協議は1〜2週間に一回、テレビ会議により行われた。

文=多名部 重則

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