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2017.12.11

華やかな美容業界に潜む5つの社会問題

paultarasenko / Shutterstock.com


スクラブがイワシを傷つける?

また美容問題はイワシとも関係が深い。一時期流行った「スクラブ」というサッパリ感溢れる、ウォッシングクリームの類は、自然由来の原料でザラザラ感をつくらず、「マイクロビーズ」と呼ばれる超微粒子のプラスチックがたくさん入っている。これを顔や体に塗布して洗うと、ザラザラさっぱり感が得られる仕組みである。
 
大手メーカーもこぞって作ったきたが、ザラザラはミクロンの世界のプラスチックの玉で自然には帰らない。便利なことに使用後には水道管を詰まらせることなく排水溝にながれるが、やがて海にたどり着き、イワシのような小魚もビーズを間接的に食べてしまっている。
 
あまりに小さく、ビーズが1つで浮遊していていも全く気づかず放置されるが、徐々に集まって、港の端に集まって浮遊していたりするのだ。「マイクロビーズ」問題は、現在では化粧品業界の改善必須社会課題として毎回議論されており、日本では排除に動きはじめているそうだ。宇宙のデブリ問題のような話だが、正面から解決すべき課題の一つであろう。

変わる「動物実験」への見方

自然界の話で言えば、動物問題も最近顕著になっている。動物実験を義務化している中国のような国もまだまだ相当数あるのだが、欧米に続き日本も国際的倫理観に沿う形で動物実験とはどう向き合うか議論がはじまり、社会を変えつつあるのは嬉しいニュースである。UVが効くか? 誤って目に入ったらどうなるか? などリスクリスク回避のための動物実験だが、不必要で過度な実験は人間代わりの動物のことを考えると、慎重になりたいものである。

こういった事例が一般大衆にも反映され、「動物実験をしていない化粧品が欲しい」なんてニーズまで増えてきた。自分の主義主張で欲しいものを選ぶ。広告に流されずに自分らしい生き方を見つける。これが意識のイノベーションであり、日本が国際社会をリードする原点ではないだろうか。

文=朝吹大

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