ビジネス

2017.11.29

「本業を生かす」社会貢献、吉本と国連が異色のタッグ

京都国際映画祭2017(写真=吉本興業)


吉本は笑いという方向から、人々が幸せになれる世界を目指している。

例えば吉本は、「あなたの街に“住みます”プロジェクト」を行っている。これは47組の芸人が、各都道府県に住みながら、お笑いを通じて地域を盛り上げていこうというプロジェクトだ。2011年に始まり、各地の観光大使をつとめたりイベントに出演するなどして、「住みます芸人」は地域活性化に貢献している。

吉本のアジア戦略についても同様のことがうかがえる。吉本は、アジア各国で、エンタテインメントを展開する企業として、民間6社のアライアンス企業とCJ機構の出資によってMCIPを設立し、それぞれの地域に根差したお笑いの文化を地道に創造しようとしている。それには途方もない時間と労力が必要だろう。それでも吉本は、利益を上げることの先にある、笑いがあふれる世界に向かって歩みを進めているのである。

国連と目指すところが同じなら、コストをかけてでもSDGsの普及に取り組むことは、当然の成り行きといえる。吉本の壮大な世界戦略も、SDGsの普及も、地道ではあるが着実に前進している。少なくともSDGs-1グランプリや新喜劇を見て笑った観客は、上演中に発せられたSDGsをいくつか覚えて帰っただろう。

「小さなことからコツコツと」。SDGsのイベントにもよく登場する西川きよしが、しきりに語っていることである。これは単なるギャグではなく、大きなことを成し遂げるために必要な、吉本の真の戦略なのかもしれない。

文=大迫知信

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