英インディペンデント紙は昨年、サウスフロリダ大学でマスコミ論を教えるKelli Burns教授の「フェイスブックは人々の会話を盗聴している」との主張を記事にした。しかし、真相は未だ謎に包まれている。
この噂はソーシャルメディアを通じて一気に広まり、先日は南カリフォルニア大学教授のJulie Albrightも同様な経験を報告した。「車の中で友人とレクサスについて話していたら、まさにその翌日、友達のフェイスブックにレクサスの広告が表示された。レクサスの広告が表示されたのは、それが初めてだったと彼は話している」
フェイスブックメッセンジャーのプロダクト責任者のStan Chudnovskyは、先日ポルトガルのリスボンで開催された「Web Summit」で、この噂を否定した。「これは一種の思い過ごしに過ぎない。単なる気のせいだ」
しかし、Albrightの投稿に共感を示す人々は多い。単なる偶然では片付けられないといった話も報告されている。Albrightの別の友人は「彼らは間違いなく会話を盗聴している。特定の商品名を話すと、その翌日に広告が表示されたという経験を持つ人は非常に多い」と述べた。
フェイスブックのChudnovskyも、こういった事態が起こる可能性を否定していない。人々の会話に出てきた商品が、広告に表示されるケースは起こりうると彼は認めている。ただし、それは人間の“認知的バイアス”の結果だとChudnovskyは主張した。
「我々は普段の会話で膨大な事柄を話している。例えば、『バナナを買いたい』とある時点で話したとしよう。その翌日にフェイスブックでバナナの広告を見たとしても、それは単なる確率の問題の話なのだ」
参考までに言っておくと、フェイスブックはプライバシーポリシー欄に、どのような個人データを収集しているかを明示しており、アプリ外の会話データはその対象となっていない。ただし、フェイスブックはアプリでシェアした情報や、利用者がフェイスブックのパートナーに開示した情報、デバイス情報、ソーシャルログイン機能を通じて紐付けられた個人のデータを収集している。
しかし、フェイスブック側の主張が全て真実だとしても、陰謀論は今後も語り継がれていくかもしれない。