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2017.11.26

官民一体で「自動運転」開発の中国がグーグルを超える日

testing / shutterstock.com

グーグルやウーバー、テスラといった米国企業は自動運転の実用化に向けて熾烈な競争を繰り広げている。しかし、中国市場に彼らが立ち入ることは難しい。

中国の自動運転分野をリードするのは検索エンジン大手のバイドゥだ。バイドゥは中国の自動車企業との連携や、政府の支援も受けて中国の自動運転分野の覇権を握ろうとしている。

清華大学のコンピュータサイエンス教授、Deng Zhidongは「数ある中国のテック企業のなかでも、バイドゥは唯一グーグルに対抗しうるテクノロジーを持っている」と述べる。バイドゥは中国最大の自動運転ラボを持ち、シリコンバレーにも研究拠点を構えている。

「バイドゥの強みはアルゴリズムやソフトウェアに加え、ディープラーニングに関する豊富な知見にある」とZhidongは述べる。

バイドゥは政府系自動車メーカーの金龍客車(King Long Motor)と組み、早ければ来年には部分的自動運転タイプのバスを試験走行させる計画だ。さらに、第一汽車集団(FAW)や奇瑞汽車(Chery Automobile)もバイドゥのソフトを用い、運転アシストや自動駐車機能を備えた車両の製造を行っている。

中国政府は2015年、製造業の発展のロードマップ「メイド・イン・チャイナ2025」計画を発表。2025年までに、テクノロジー領域で西側諸国を超えるための10の目標を掲げたが、そこで重視されたのがAIやロボティクス分野の発展だった。

「中国政府は交通関係の法案の見直しも行っている。また、自動車メーカーもテクノロジーに関心の強い若い世代を引きつけようと躍起だ」と、上海のアナリストは述べた。調査企業eMarketerの今年8月の調査では、「自動運転車に乗りたい」と答えた中国人は全体の82%だった。この数字はシンガポールでは59%、日本では43%でしかなかった。

ここから予測できるのは、中国では2025年までに自動運転機能を持つ車両や関連サービスの市場が1140億ドル(約13兆円)規模に成長することだ。調査企業86 Researchはバイドゥが、自動運転関連ソフトの販売から62億ドルを売り上げることになると予測している。
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編集=上田裕資

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