ビジネス

2017.11.26

実態不透明な「相談役・顧問」 岐路を迎えた日本流ガバナンス

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コーポレート・ガバナンス関連で、今年話題となったのは「相談役・顧問」の存在だ。東芝の会計不祥事に相談役らが経営に影響力を行使していた実態が明らかになったからだ。

経済産業省によると、日本の上場企業の約6割(544社)が相談役・顧問が在任中。株主総会の決議を経ずに選任可能なため、実態が不透明。国内外の投資家からは「院政」を懸念する声もある中、2018年から企業が東京証券取引所に提出する報告書に、相談役・顧問の有無や勤務形態、役割を開示することになった。

一方で、「社長経験者のアドバイスは有益だ」という声も多い。そのため、経産省が3月にまとめた「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)には「相談役・顧問が一律に良い・悪いというものではない」という文言が盛り込まれた。

とはいえ、相談役・顧問制度は、海外企業にはない、日本独特の制度。かつ、会社法に規定がなく、設置基準も企業によってバラバラ。

今回の改定は任意だが、株主や投資家に向けて、透明性が高まる方が、企業価値向上にもつながる。日本流ガバナンスは岐路を迎えている。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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