ビジネス

2017.11.27

持続的成長のために積水化学が取り組む「3つの際立ち」

積水化学工業 高下貞二 代表取締役社長


──中計では「Fusion(融合)」を掲げている。環境分野でリソースをどのように融合させようとしているのか。

融合とは、技術、機会、リソースの融合を指す。たとえば、米国子会社で生産している航空機座席向けプラスチックシートは世界市場で高いシェアを確保している。

この環境・ライフラインカンパニー事業のシート技術を、高機能プラスチックスカンパニーのフォームの技術と融合させ、柔軟性や断熱性を高めた航空機向けの内装材を開発し、年間2兆円規模の市場へ打って出ようとしている。こうした融合を20以上のテーマで加速させるため、研究開発費を960億円(前中計)から1200億円へ大幅に増額した。

また、「内ー内」の融合に加え、「内ー外」の融合も進めている。安全かつ長寿命な大容量フィルム型リチウムイオン電池が、京セラが1月から発売した住宅用蓄電システムに採用。当社は同システムを環境貢献製品であるセキスイハイムの新商品として採用し始めている。

──「際立ち」という言葉が、経営の根幹を示すキーワードになっている。

積水化学工業イズムを示す言葉として従業員に浸透している。重要視しているのは、「環境での際立ち」「CS(顧客満足)品質での際立ち」「人材での際立ち」という3つの際立ちだ。「際立ち」で大切なのは、一度身につけた得意技を常に磨きをかけていくこと。それを実現するために従業員一人一人が成長し続けることだ。

そのためには、経営者自らが成長し続けなければならない。持続的成長のためには経営者の人格的成長が不可欠で、常に会社は何のために存在しているのかを問い続け、自分自身、心技体全てにおいて、「生涯修行」だと肝に命じている。


こうげ・ていじ◎1953年岡山県生まれ。76年同志社大学経済学部卒、積水化学工業入社。2003年名古屋セキスイハイム社長。08年から6年間、常務兼住宅カンパニープレジデントとして住宅部門を牽引。専務CSR部長を経て、15年から現職。

積水化学工業◎住宅、環境・ライフライン、高機能樹脂の3軸で世界展開する樹脂加工メーカー。売上高1兆657億円、営業利益964億円(4期連続の最高益更新)。自動車用ガラスの中間膜やコレステロール検査薬などで世界トップ。本年8月の創薬「ペプチスター」発足含め、次3年でM&Aに1300億円を充てる。

文=伊藤博之 写真=Kay N

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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