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SOMPOホールディングス 楢﨑浩一 グループCDO 常務執行役員

海外のデータサイエンス企業がレガシー産業を駆逐しようとしている。破壊される前に、自らを「デジタル変革」する役職が、CDOだ。


今春、ウォールストリートジャーナルに「SOMPO」 の名前が載った。SOMPOホールディングスがニュースになったのは、「インシュアテック(保険テック)の本命」と言われるシリコンバレーのTrov(トロブ)に出資し、日本での事業権を獲得したからだ。だが、このニュースは単なる提携以上の意味をもつ。それは従来の保険の仕組みを「破壊」するからだ。競合に勝ち抜いたのが、2016年にCDOに就任した楢﨑浩一だった。

SOMPOホールディングスの社長、櫻田謙悟が、会社のデジタル変革を求めてCDOという役職を導入してからトロブと契約する一連の流れを一言で括ると、キーワードは「破壊」だろう。

三菱商事を経て、シリコンバレーでIT企業の起業や経営を経験してきた楢﨑は、就任の経緯をこう振り返る。

「CDOを導入したいという話を聞いたとき、当初、私は形式的に役職を設置するだけだろうと思っていました。しかし、櫻田社長と損保ジャパン日本興亜の西澤敬二社長に会って話を聞く際、櫻田はこう言ったのです。『外から(ビジネスモデルが)壊されるくらいならば、自分たちで壊しにいく』と。そこまで危機感をもって語るトップが日本の大企業にいるのかと思い、決断しました」

このとき、櫻田は企業名こそ出さなかったが、従来型の損保を外部から破壊する者とは、データサイエンス企業であるグーグルやアマゾンであることは言わずもがなだ。櫻田から楢﨑に与えられたミッションは、「デジタル・トランスフォーメーション」である。櫻田が口癖のように公言する「昔は損保会社だったと言われたい」という言葉の通り、損害保険という現在の枠組みを超えて、センサー、データ、ICTなどデジタルを手段として使い、「安心・安全・健康を提供するサービス産業」を目指す。

東京・新宿にある本社40階に、楢﨑の拠点となる「SOMPOデジタルラボ」がある。楢﨑が就任すると同時にシリコンバレーにもオフィスを新設。そこには日本人スタッフが3名、現地採用の外国人が3名常駐している。

では、社内にデジタル変革をどう浸透させるのか。既存の事業を変えられることを嫌がる人間もいるはずだ。しかし、櫻田の本気度を示す、エピソードがある。入社後、楢﨑は櫻田からこう言われたという。

「率先して失敗してください。失敗したら、僕が褒めてやるから」

なぜそんなことを言うんですかと楢﨑が驚くと、櫻田はこう返答した。

「大企業にはDNAとして減点主義がある。エリートになると失敗をしないし、失敗を許容しない風土になってしまう。そして、失敗の仕方もわからなくなる。これを変えたいんだ」

文=児玉 博 写真=Kay N

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