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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


このクルマはパワー不足だと不満を言う人もいるのも分かっている。でも実は、207psだからこそ、 この補強されたサスとシャシーでのコーナリングのポテンシャルをあますところなく発揮させることに集中できる。

このクーペこそ、理想的なエントリー・レベルの後輪駆動スポーツカーのお兄さん版だ。コーナーから全開で立ち上がっていけるし、その時リア・タイヤに何が起きているかを、ステアリング・ホイールを戻す時に感じることができる。

標準車より路面のグリップがよく、オーバーステアをなるべく抑えている。でも、もちろんボディ剛性も強化されていて、サスとシャーシがいいからリア・タイヤが流れた場合も修正しやすい。コーナーの入口で思い切り急ブレーキを踏んでも、クルマは姿勢を崩さない。ノーズ・ダイブがないので、コーナリング時にもボディロールしないし、ステアリングの重さがちょうどよくて路面から見事にフィードバックしている。

正直なところ、サスとシャシー剛性をこんなに強化させると、乗心地が必要以上固くなることがある。でも、STIスポーツの乗り心地は犠牲にされず、バランスは抜群。エギゾースト・ノートも標準モデルよりスポーティーにチューニングされているので、耳にも心地いい。

ドライバーが命じるように、このクルマは走ってくれる。わずか10分あまりの走行だったが、その間の僕はずっとニコニコだった。そして、その笑顔がやむなくしぼんだのは、ピットに戻って次のドライバーに席をゆずる時間が来たときだった。



正直に言って、僕はこれまでもずっとスバルの哲学のファンだった。BRZは後輪駆動ではあるけど、同社がボクサー・エンジンと四輪駆動という独自のニッチマーケットを開拓してきたことを尊敬している。ただ、これまで同社のATギアボックスは、あまり好きでなかった。でも、最近はそれも改良されて、ノイズも振動も少なくなった。

STIは、BRZのチューニングに最大限の献身を払った。それは、他のラインナップにも同じように注がれている。STIは何をしたのか? ナイキのランニングシューズに例えるなら、そのソールの衝撃吸収性能を上げ、爪先とサイド、足首のサポートもしっかりさせた。そんな感じなのだ。だから、あなたはよりしっかり踏み込めてコーナーも曲がりやすく、脚や身が安定する。

そんなSTIスポーツの価格は350万円から。中でもクールグレー・カーキEditionは100台限定。今のうちに買っておいたほうがよさそうかな。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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