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アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター

Dmitry Kalinovsky / shutterstock.com

車両マネジメントサービスの「Automile」が、シリーズBで3400万ドル(約38.6億円)を資金調達した。2014年創業の同社は、配管業や建設業などの中小企業を対象に、車両の位置情報や状態を把握するためのデバイスとソフトウェアを提供するスタートアップだ。

共同創業者でCEOのイェンス・ニランダーの経歴は一風変わっている。大学生時代、母国のスウェーデンで最初に立ち上げた会社は、MP3のメーカーだった。同社は「Jens of Sweden」というブランド名のもと、iPodのヨーロッパ版的デバイスを25万台売り上げたものの、ユーザーの音楽の聴き方の多様化の波により破産に追い込まれた。

その後、ニランダーは高性能ヘッドホンとイヤホンを製造する「JAYS」を創業。だが、同社が2011年にIPOを果たす前に経営から退いた。

やがて米シリコンバレーに移住し、3児の父となったニランダーは、より堅実な業界に目を向けた。IoTの普及が進む中、自身の電子機器に関する専門知識をSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のビジネスモデルに活用する道を探した。ニランダーが最初に思いついたのはコネクテッドヘルスケア分野だったが、最終的には車両マネジメントの分野を選び、Automileが生まれた。

Automileは企業らが保有する業務車両用に自社アプリと連携するIoTデバイスを提供し、1台につき月額15ドルから25ドルの使用料を受け取る。顧客企業の平均的な車の保有台数は8台。現在、Automileは約7000社と契約しており、今年の経常利益は600万ドル(約6.8億円)に届きそうな勢いだ。若者向けの音楽プレイヤーとは違って急に人気に火がつくことはないが、毎月8-10%の成長を遂げている。オフィスも米国内に1箇所、スウェーデンを含むヨーロッパに3箇所ある。

ベライゾンも注目企業を24億ドルで買収

近年、米国の車両マネジメント市場はFleetmatics社がリードしてきた。しかしFleetmaticsが2016年7月に通信大手のベライゾン・コミュニケーションズに24億ドル(約2730億円)で買収されて以来、投資家たちの視線は安定感のあるAutomileに集まっている。Insight Venture Partnersが主幹投資会社となったシリーズBの資金調達では、SaaStr Fund、Point Nine Capital、Dawn Capital、Salesforce VenturesがシリーズAから引き続き出資した。これまでにAutomileが調達した資金総額は4700万ドル(約53.4億円)に上る。

今後、ニランダーは営業担当者とエンジニアを増員して米国内での事業を拡大する予定だ。年内には、トレーラーや全地形対応車、建設機械にも対応するソフトウェアAnyTrackを発表する。また、会社が成長し続けるためには顧客数を増やす必要があるが、大企業をターゲットとする多くの同業他社とは異なり、Automileは中小企業を重視し続ける。ニランダーによると、所有車両数が10台以下の企業は全米に約30万社存在するという。

ニランダーは今回こそ、MP3プレイヤーやヘッドホンの会社で得られなかった成功が収められると信じている。来年の経常利益の目標額は1700万(約19億円)ドルだ。「年齢を重ねた今、Automileこそ自分で上場させたい会社だと言えます」とニランダーは語る。

編集=海田恭子

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