ウーバー会長「資産5600億円」の半分を慈善活動に寄付へ

(Photo by studioEAST/Getty Images)

それは2008年の出来事だった。トラビス・カラニックとギャレット・キャンプは旅先の冬のパリで、タクシーを拾うのに苦労した。その経験から彼らはウーバーの構想を思いつき、数年後に共同創業者のキャンプは巨万の冨を得ることになった。

それから約10年が経った今、キャンプは再び旅で得たアイデアから新たな行動を起こすことにした。キャンプは彼の財産の半分を慈善活動に寄付することにした。きっかけは2週間に及ぶケニアへの旅だった。彼はそこでサファリや地方の貧しい街を訪れた。

11月20日、キャンプはMediumの投稿で、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットらが創設した寄付啓蒙活動の「ギビングプレッジ」に参加することを表明した。ギビングプレッジは資産家が生前もしくは死後に、資産の半分以上を慈善活動に寄付する運動として知られている。

「私はこれまでの15年間、スタートアップに関わってきた。ビジネスに対する情熱は変わらないが、今こそ自分が得たものを社会に還元すべき時が来た」とキャンプは宣言した。

現在39歳のキャンプの資産額をフォーブスは51億ドル(約5670億円)と推定している。彼は間もなく自身の財団を立ち上げ、資金を注ぐべき分野のリサーチを開始する。「自分が興味を持つ分野で他の人々の協力を得つつ、世界の人々の暮らしを変えるシステムやプロダクトの創出を目指していきたい」とキャンプは述べた。

カナダ出身でサンフランシスコ在住のキャンプは2001年、カルガリー大学の大学院時代にウェブ発見ツール企業「StumbleUpon」を起業。2007年に同社をイーベイに7500万ドルで売却したが、その後会社を買い戻し、自ら会長に就任した。2013年はスタートアップインキュベーターの「Expa」をリチャード・ブランソンやメグ・ウィットマンらと立ち上げた。

キャンプは今後も企業価値680億ドル(約7.6兆円)のウーバーの会長に留まるという。ウーバーは今年、相次ぐスキャンダルで世間の強い非難を浴び、6月にはカラニックがCEOを辞任した。

そして11月21日、ウーバーは5700万人に及ぶ顧客やドライバーの個人情報を、2016年にハッカーに盗まれていた事実を1年にわたり隠蔽していたことを明らかにした。

キャンプは今回のアナウンスで、諸々の事件に対する思いをほのめかす言葉でしめくくった。「ここ数ヶ月の間私を支え、適切な判断を行えるよう助けてくれた人々に感謝したい」

編集=上田裕資

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