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2017.11.25

財務は経営の武器になる ファイナンスが優れた日本企業ベスト10

Sergey Nivens / shutterstock.com


優れたCFOがCEOとともに経営をリードする10社

ソフトバンクグループ
半導体設計大手の英ARM(アーム)の約3.3兆円での買収や、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の発足など、CEO孫正義氏のリスクを取った経営判断を財務面・管理面から支援している。

キリン
海外成長戦略と同時に、ブラジルのビール事業子会社のように低収益事業の売却による本業の強化、資本効率性の改善を行うとともに、積極的な株主還元と資本配分といった財務戦略にも強みを持つ。

ソニー
厳しい業績からの復活の過程で平井一夫社長の「構造改革」を支えてきた。資本市場との対話においても評価は高く、成長に向けた次なる事業展開への舵を切る中でも重要な役割を果たしている。

アシックス
海外売上比率約80%という積極的にグローバル展開を進めるなかで、「CASH IS A CORPORATE ASSET」という理念のもと、様々な施策により筋肉質な財務体制の確立に意欲的に取り組んでいる。

花王
“絶えざる革新”により築き上げてきたEVA(経済付加価値)経営の基盤をさらに進化させるべく、ファイナンス部門による新たな取り組みを進行中。27年連続増配という抜きんでた成果も出している。

京セラ
経営理念を実現する、独自の経営管理手法である「アメーバ経営」を支える創業者・稲盛和夫氏の「会計学」。キャシュベースの経営などの7つの基本原則とそれに基づくファイナンス戦略から学ぶことは多い。

エーザイ
「CFOポリシー」によるROEやエクイティ・スプレッドなどの財務マネジメントと、ESGや非財務資本を同期化し、中長期の株主価値の最大化を目指す。機関投資家からの財務部門への評価も高い。

豊田通商
次の10年を見据えた経営ビジョンの実現に向けて、マネジメント体制も変革した。CFOをはじめとしたCxOを新設し、任務と責任を明確化した。さらなる財務健全化と投資収益性の強化に務めている。

オムロン
新中期経営計画「VG2.0」における6つの経営指標の達成に向けて、ROICの逆ツリー・翻訳式を用いるなど、社内に根付いたROIC経営を継続強化し、積極投資と増益の両立を推進している。

コマツ
IoT(モノのインターネット)の成功例といわれる「KOMTRAX(コムトラックス)」同様、財務管理面においてもITをうまく活用し、シンプルに「グローバルの統一プロセス」や「見える化」を実現している。

■選考基準
ファイナンスは“飛び道具”ではなく経営資源の配分にいかに貢献するか、という観点からCEOをはじめビジネス側との連携による企業価値への貢献のほか、新たな組織構築や資本市場との対話、という点を重視した。

文=山本智之

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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