謎の葉巻型の小惑星、ハワイ大学が「遠方からの使者」と命名

Vadim Sadovski / shutterstock.com

今年10月に発見された、謎の小惑星の正体について科学者らが議論を交わしている。ハワイ大学の研究者らが発見したこの天体は、“葉巻型”で長さは400メートルから800メートルと推測されている。

この惑星は太陽系外から飛来したと推定され、ハワイ語で「遠方からの使者」を意味する「オウムアムア」と名づけられた。研究チームを率いるハワイ大学の天文学者のKaren Meechは「この天体は非常に奇妙な形をしている」と声明で述べた。

フットボール競技場ほどの大きさのオウムアムアは、7.3時間ごとに自転している。当初は彗星とみなされたこの惑星は、その密度から金属物質を大量に含む岩で出来ている可能性が高い。また、表面は乾いており数百万年にわたり宇宙線を浴び続けてきた結果、暗い赤褐色をしている。

太陽系外からの惑星の飛来は、理論的にはこれまでにも1年に1度ほど発生していたと考えられるが、次世代望遠鏡の「パンスターズ(Pan-STARRS)」を用いた観測で、今回それが初めて確認された形だ。

研究チームは今後も観測を続け、オウムアムアがどこから来て、どこに向かおうとしているのかを突き止めようとしている。また、NASAもハッブル宇宙望遠鏡を用いて観測した結果、「この惑星は時速約8万5700マイル(約13万8000キロ)で移動している」と発表した。

軌道を計算した結果、オウムアムアはこと座で最も明るい恒星のベガに近い方向から飛んできたようだ。しかし、オウムアムアがその位置にあった約3万年前には、ベガはこの場所にはおらず、この惑星のルーツがどこにあるのかは未だ解明されていない。

オウムアムアは来年5月には木星を超えて、2019年1月には土星の軌道の外側に向かうという。太陽系を離れた後は、ペガスス座の方向に飛んでいくようだ。研究チームはこの小さな天体が、次世代望遠鏡でも確認できないほど小さくなってしまうまで、観測を続けていくという。

編集=上田裕資

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