ビジネス

2017.12.13

首相になるには時間がかかる、だから「ビジネス」という道を選んだ

高橋 祥子(左)、高橋 飛翔(右)


飛翔:僕が経営者として気をつけていることは、仁義にもとらない経営者でいるということ。自分に対しても顧客に対しても株主に対しても必ず筋を通すということを大事にしています。

最近、経営者としてしなくてはいけないと感じているのは、みんなの頭脳を最大限活用すること。一人のビジョンに従って成功する時代ではないからです。社員に社長としての自分の考えをすぐ言うのではなく、どう考えているのかを質問して答えてもらい、穴を指摘し、もう一度考えてもらうということを徹底しています。自分の中で考え抜くと腹落ちしますから。

週に一度、直属の部下それぞれと30分間面談もしています。かなり面談はうまくいっているので、月一だったのですが、今年から週一にしました。

祥子:すばらしいですね! 私も周りの人たちへの接し方は、得意なこと以外は本当に頼りないから、「みんな助けて〜」みたいな感じで頼ります。素直にさらけだしています。実際、サイエンス以外はすべて初めてで、就職経験もなく苦手なことが本当に多いんです。たとえば採用面接は苦手。「この人は悪い人かもしれない」と疑うのがイヤで「悪い人は絶対にいない」と考えてしまうのです。

飛翔:本当? 悪い人はいっぱいいますよ(笑)。

祥子:スキルは別として、人を採用する上での重要条件は「根がいい人」ですね。一番シンプルですが一番大事だなって。自分をよく見せすぎるための嘘をつかないとか、人としていい人を選びます。

飛翔:同感です。スキルはどれだけあっても、信用できない人が群れの中にいると、そういう人たちがつるむ。モチベーションは高いがスキルが劣る人と、モチベーションは低いけれどもスキルが高い人がいたら、後者が尊敬されてしまう。尊敬された人間が会社の悪口を言うと、影響されてしまう。人格が絶対に大事です。

さらに言うなら組織に対する「我がこと意識」がないと厳しい。面接では、チームで働いたとき、どういう役割を担っていてなぜやったのかを、徹底的に聞きます。チームの中で一プレーヤーとして「他人事」でやったのか、「自分がやらなくては」という責任感を持ってやったのか。責任感を持って何かをやった人は、適切な環境に身を置けばそういうふうになっていく。

スキルがある人は業務委託で働いてもらえば、組織は関係ないですね。


高橋祥子/ジーンクエスト代表取締役社長◎1988年生まれ、大阪府出身。幼少期の2年間、フランスで過ごす。2010年京都大学農学部卒業。2013年6月、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程在籍中にジーンクエストを設立。2015年3月、博士課程修了。生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など約290項目におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるベンチャービジネスを展開。一般生活者向けに病気リスクや体質などの情報を伝える遺伝子解析サービスを行う。

高橋飛翔/ナイル代表取締役社長◎1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に「マーケティングドリブン事業開発カンパニー」としてナイルを設立し、代表取締役に就任。企業のインターネット集客課題を解決するデジタルマーケティング事業を展開し、ナイルを業界を代表する存在へと成長させる。2012年には、アプリ情報メディア「Appliv」を主軸としたスマートフォンメディア事業を立ち上げ、現在は全社の経営戦略・事業戦略を担当する。

構成=星野陽子 写真=藤井さおり

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