マネー

2017.11.22 15:00

ソニーの「相乗効果のハブ」となる特殊部隊

(右から)執行役員の御共俊元、VPの土川元、渡辺怜央、北川純(photograph by Jan Buus)

(右から)執行役員の御共俊元、VPの土川元、渡辺怜央、北川純(photograph by Jan Buus)

「現代の羅針盤探し」ー。ソニーのコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の「ソニーイノベーションファンド」を統括する執行役員の御供俊元は、これからのIoT(モノのインターネット)時代を、16世紀のルネサンス時代に例えながら、役割をそう定義する。

ロボットや人工知能分野の研究開発を手がけるスタートアップへの出資を行うとして2016年7月に創設された同ファンド(100億円規模)は、設立1年強にもかかわらず、公表しているだけで米国6社、欧州・イスラエル2社、日本3社の合計10社に投資。17年9月には、ロボティクス関連ベンチャーで米DARPA(国防高等研究計画局)のプログラムにも採択されたことがある「Acutronic Link Robotics」のシリーズAへの出資も発表された。

なぜ、こうした投資が可能なのか。イノベーションファンド室長の土川元は「出島方式では管理できずシナジーが生まれない、本社では遅い。投資までは至るが長期的な関係性が築けない。これまでの経験を踏まえて、本社でスピード感を出し、かつ、社内連携を推進すべく、SWATのような“特殊部隊”を作った」と話す。

投資検討委員会には、事業を統括する本社役員らが名を連ねる。執行役で中長期経営戦略、新規事業を担当するCSOの十時裕樹、執行役員でソニーコンピュータサイエンス研究所社長の北野宏明、同執行役員で知的財産、事業戦略担当の御供、VPでM&A部門も統括している土川らが全会一致で投資決定を行う。

CVCには珍しくアーリーステージ中心のため、投資候補先を探すメンバーもそれぞれの「思い入れ」を重視して選んだ。「我々とスタートアップが“ハブ”になり、複数の事業部間でのコラボレーションも起きている」(土川)。新領域事業を探す航海は順調なスタートをきった。

文=山本智之

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