人類が地球の自転速度の変化を体感することはできないが、地球物理学者らは地球の自転速度を極めて正確に測定し、ミリ秒単位の変化を記録している。研究結果から自転速度の低下は、地震の発生頻度の高まりと関連があると見られている。
今回の研究結果はアメリカ地球物理学連合(AGU)のサイト「AGU Publications」上で今年8月に公開された。
地質学者らが1900年以降に世界で発生したマグネチュード7.0以上の地震を分析したところ、大規模な地震は約32年周期で頻発していることが分かった。さらに、世界の地理的データとの関わりを調査した結果、地震の頻発周期は地球の自転速度が低下した時期と強い相関関係を持つことが分かった。
研究チームによると地球は25-30年周期で自転速度を減速させており、その直後に地震の頻発時期を迎えているという。歴史的に見て、減速期間は約5年間におよび、その最後の年の翌年に地震が頻発する傾向にある。
2017年は地球が自転速度の減速を開始してから4年目の年にあたるという。このことから、研究チームは2018年に地震が頻発すると考えている。
一体なぜ地球の自転速度が変化するのかについては、明確な理由は明かされていないが、いくつかの仮説がある。その一つは、地球内部の核(コア)の外側の部分である外核との関連だ。外核内部では金属質流体が硬いマントルの底部を流れているが、その金属質流体がマントル底部に“ひっつく”ことで流れに混乱が生じ、地球の磁場に影響を与える。その結果、地球の自転にしゃっくりのような影響を及ぼすという。
現状では自転速度の低下と地震の頻発との相関関係を示すデータはあるものの、その理由は明らかになっていない。つまり、科学者らは自転速度の低下が地震の原因となっているとは断定していない。
しかし、この2つに直接的因果関係がなかったとしても、ここ100年間のデータから2018年は非常に地震活動が活発な年になると予測される。通常の年であればM7を超える大型地震の発生件数は年間15から20回だ。しかし、自転速度の低下開始から5年目を迎える年には、平均で25から30回の大型地震が発生している。
自然災害のなかで地震は最も予知が難しい。地質学者らは歴史的データから発生確率を予測するしかない。今回の研究結果は新たな形のデータ分析により、差し迫る地震発生の脅威を世界に伝えようとしている。
論文の詳細は下記URLから確認可能。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2017GL074934/abstract