政治アナリストは、米国のパリ協定離脱が、中国の環境汚染対策への意欲を高めたとみている。気候変動問題において中国が主導的な役割を果たすことで、北京のスモッグなどで世界最悪の大気汚染国として知られる中国の環境面での成長が期待できるだけでなく、国際社会でのイメージも、単なる経済大国を超えて高められるかもしれない。
米シンクタンク「Stimson Center」のユン・スンは「各国は気候変動の問題で米国に期待するのを諦め、その役割を中国に求めるようになった。中国もこれを好機と捉えている」と述べた。
中国当局は、中国はGDPあたりの温室効果ガス排出量を2020年末までに2005年比で45%カットできると語っている。
中国は石炭の利用を減らし、ソーラーパネルと風力発電装置の2020年の導入目標も前倒しで達成した。シンクタンク、World Resources Institute(WRI)によると、石炭消費は2013年にピークを迎え減少に転じたという。
だが、中国の環境対策は、中国のGDP7%成長の妨げになるかもしれない。トランプ大統領も経済への悪影響を懸念し、パリ協定からの離脱を選んだ。
とはいえ、気候変動に対する中国の取り組みは中国のイメージにプラスとなるだろう。欧州諸国はとりわけ中国の努力を認め、温室効果ガス排出削減のために1991年から協力体制をとっている。