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出雲:いま一番大事にしているのは「安全」です。2012年にマザーズに上場したときは、社員は全部で38人でした。売り上げは15億円ぐらい。 5年経って、社員も出荷量も約10倍になっている。創業のときと全然違う会社になっているので、大事にすることをスピーディーに変化させていかなければならないと思っています。それがいまは「安全」です。

5年前まではそんなことを言っていられませんでした。売り上げが大切で、黒字化を目指していましたから。今は、収益も大事ですが、どんなにお金がかかっても効率が落ちても、作業を二人一組ですることにより「安全」を確保するようにしています。

漆原:なるほど。会社の成長フェーズによって大事なことは変わってきますね。弊社もスタートアップのときは「売り上げ」でした。途中から品質や業務内容の絞り込みに変わり、今はより革新的な技術に軸足をおいています。

経営で困ったらミドリムシになる

漆原:エンジニアリングと経営は別物のように語られるけれども、特別に切り離して考えなくてもいいのではないかと思うんですよね。経営の専門家もいますが、たとえば、エンジニアや営業職の人が経営をしていいと思う。むしろするべきだと思います。

出雲:その通り! 僕は曲がりなりにも会社を10年経営しています。なんとかやっているのは、困ったことがあったら、ミドリムシになるからです!

漆原:えっ! ミドリムシになるってどういうこと(笑)?

出雲:たとえば、イノベーションにとって大切なものはダイバーシティ、つまり多様性ですよね。シリコンバレーには80カ国から常に人が来ていて、多様性があるからイノベーションが起こる。イノベーティブなR&Dができなかったときのことを考えてみると、一種類の儲かるミドリムシ、ある既存のミドリムシにみんなの意識が集中しすぎて、新しい知識やアイデアが出てこなくなったということなんです。

我々にはミドリムシをスクリーニングするシステムがあり、新種のミドリムシを色々な所からつかまえてきて、これはビタミンが多いからいい、これはカルシウムが多いからいい、という具合に選んでいきます。ぽっちゃりしたミドリムシがいるのですが、他より4倍ぐらい大きくて脂ばかりなので、「見込みがないダメな子だ」ということで早期に脱落させていました。

でも、バイオジェット燃料をつくるときに、落ちこぼれのぽっちゃりミドリムシが大活躍したんです。ビタミンCでは0点なのですが、ジェット燃料としてはスターなわけですよね。ミドリムシでもそういうことが起こるわけですから、会社でもすぐに「この人はだめ」とか「MBAを取っているからいいだろう」などと言っていると、似たような人ばかり集まってダメだろうと考え、意識してダイバーシフィケーションしています。

つまり、何か困ったときにはミドリムシで取り組んだときのことを考えると、経営上の課題で解けないことがないというわけです。僕はミドリムシを長くやっているので、ミドリムシの経験をそのまま使うだけです。

アメリカでも軍に入って海兵隊式のマネジメントを勉強して帰ってきた人が、除隊してベンチャーをやるとすごくうまくいったりしています。海兵隊式マネジメントの本とかありますよね。海兵隊員でも学者でもエンジニアでも何かを極めた人は、自分が極めたものに経営課題などの物事を分解して、翻訳して、こういうアプローチをしようと考えれば、経営というのはそんなに難しいものではないのではないかと思います。

インタビュー=谷本有香 構成=星野陽子 写真=藤井さおり

出雲充レノボテスラフォードマツダ

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