希望の党立ち上げ時点において、小池知事の強力なカリスマ的リーダーシップにより、「期待値コントロール」は完全な状態で成功していたと言えるだろう。
期待値コントロールとは、まさに読んで字のごとく、上司から部下への期待、部下から上司への期待、顧客から企業への期待、そして国民から政治家への期待など、「期待値」をコントロールすることである。
期待値コントロールが有効に機能している例として、米国のサウスウエスト航空を挙げることができる。サウスウエスト航空は、頻繁な運航と低価格を実現している企業である。しかし機内サービスで提供されるのはピーナッツなど軽いスナックと飲み物であり、豪華な機内食やラグジュアリーなサービスは行われない。
ところが、米国の飛行機利用者による苦情は、最も少ないといわれている。苦情が少ないということは必ずしもクオリティーが高いということと同意味ではなく、利用者の期待する価値と提供されるサービスが一致しているということなのだ。
サウスウエスト航空が提供している価値は、低価格で、多くの便が運航し、忙しいビジネスマンの利便性向上に寄与するということであり、快適な機内サービスではない。つまり利用者の期待値コントロールに成功していると言えるのだ。
小池知事の話に戻ろう。希望の党結党時に、国民からの期待値は最高潮に達した。比例投票先として自民党は34%であるのに対し、結党間もない希望の党は19%(読売新聞調査)にまで迫っている。小池知事がカリスマ的リーダーだからこそ、「小池さんなら、私たちの生活を変えてくれる」という国民からの期待を集めていた。
カリスマ的リーダーの特徴としては、1. ビジョンと明確な表現、2. 個人的リスク、3. 環境に対する配慮、4. フォロワー(構成員)のニーズに対する配慮、5. 並外れた行動力、とされている(『組織行動のマネジメント』スティーブンP.ロビンス著 高木晴夫訳)。
自らの勇気やビジョンに対する確信を示すため、自らが大きなリスクを背負い、自らが犠牲を払い、想像もつかない大胆な行動をとるのだ。そう、まさにジャンヌダルクのように。