全米で「毎日1000台」売れる車、トヨタ・カムリが大変身

トヨタ、カムリ


それでは試乗してみよう。CVTを「パーク」モードから「ドライブ」モードにシフトし、電動で音もなく動きだす。ダッシュボード上のエネルギー・フロー・モニターで状態を見る事ができる。これを見ると、何となく地球に優しいことをやっているというマインドになる。アクセルをさらに踏むと、音と振動を多少出しながらエンジンが作動する。金属的なノイズで電動の静けさが破られる。

2.5Lエンジンとハイブリッドの組み合わせによる最高出力は208hpで、アクセル・レスポンスはすばやく、加速性も充分だ。CVTはよりスムーズに変速できるようにチューニングされていて、しっかり加速してもウイーンという音と振動が低減されている。燃費は28km/Lとトヨタ側は行っているが、リアルワールドでは22km/Lを達成できれば立派。だが、「スポーツ」モードにしても、なぜかパフォーマンスや走りにほとんど違いを感じなかった。

新型カムリは静粛性が向上し、直進安定性は優れている。あらゆる路面で剛性がかなり上がった新シャシー性能が発揮され、思ったよりも動きがシャープだったが、車重が軽くなった効果もあるだろう。ステアリング操作はちょっと軽めだが手応えよく、路面からのフィードバックもいい。

今日の中型ファミリーカーの常として、トヨタ・セーフティ・システムはレーンキープ、レーン離脱警告、前方衝突警告、自動緊急ブレーキ、ACC(クルコン)を装備。このACCが作動している時のブレーキは、初期の利きがよくてレスポンスも速い。でも、ブレーキペダル剛性はもっと滑らかだといいのだが。ブレーキはちょっと唐突すぎで、止まる寸前にカックンとなる。自分で踏んでもACCが自動的に踏んでくれても、この症状は同じ。



カムリは、日本ではさほど人気者ではないが、アメリカでは超売れっ子だ。

トヨタがバニラアイスの味の調合をどんなに変えたとしても、その人気ぶりに影響はないだろう。SUVと競争するのに、そのくらい味を変えないといけない。たとえ、価格が420万円からでもね。

事実、新しいパワートレーンも、安全性と信頼性の高いレベル、 向上した乗り心地とインテリアの質感と新しいボディ・デザインを持ってすれば、たとえノーズは賛否両論であっても、マーケットがそっぽを向くことはないだろう。勝又が言うように、カムリは「毎日乗っても、がっかりさせない」セダンだ。


国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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