サムスン財閥を運営する李一族は昨年、資産額296億ドルで1位に立ったが、今年は資産を408億ドル(約4.6兆円)まで伸ばしたものの、急浮上したインドの大富豪ムケシュ・アムバニ一族(資産448億ドル)に首位の座を奪われた。
アムバニ一族の資産は昨年190億だったが、運営するインド最大のコングロマリット、リライアンス・インダストリーズの株価急騰により一気に資産額を伸ばした。傘下の通信企業、Jio(ジオ)が2016年の創立以来、契約者数を1億4000万人以上に急増させたことが株価上昇の主要因となった。
国別で見るとインドが最大の勢力となっており18家族がランク入りした。香港がそれに続き、9家族だった。日本からはサントリーを経営する佐治家が18位に、森ビルの森家が33位に入った。
新顔としては39位に韓国のSKグループを率いる崔一族が入った。SKグループは韓国の無線通信事業大手のSKテレコムの運営元として広く知られている。また、22位にはレットブルの共同創業者として知られるタイの実業家、チャルーム・ユーウィタヤーが率いるユーウィタヤー一族が入った。ほかに、インドの自動車部品メーカーを運営するSehgal(41位)やコングロマリット運営のWadia(42位)。さらに、香港からは世界最大のオイスターソースメーカー「李錦記」を運営するLee Man Tat(30位)やTungs(49位)が加わった。
昨年に続いてランク入りを果たした43家族は、いずれも昨年から資産を増やしている。主な要因としては、今年の10月末までの1年間でアジア市場の株価が全体で25%の上昇を遂げたことがある。全50家族の資産額の合計は6990億ドル(約79兆円)に達しており、昨年から2000億ドル近くの伸びとなった。
各家族の資産の算定にあたっては、2017年11月3日時点での株価と為替レートを基準とした。非公開企業については、同様のビジネスを行う上場企業の指標を参考にした。選考対象は3世代以上にわたってアジアを拠点に事業を拡大してきた家族に限定した。
アジアで最も裕福な家族の半分近くは中国に住んでいるが、今回ランク入りを果たしたメンバーに、中国本土をベースとする一族は含まれていない。中国の富豪が率いる企業の多くは第1世代、もしくは第2世代が運営しており、急激に発展する中国経済において、短期間で莫大な冨を蓄えている。