世界のエリートに学ぶ「創造的思考力」の伸ばし方

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欧米では90年代から芸術教育(美術、音楽を含む)の効果を測定する研究が多数行われています。その中でわかってきているのは、芸術は創造的思考力を伸ばすということです。

コロンビア大学の芸術教育センターでは、3つの州の公立学校に通う2046人の子供たちを対象に大規模調査が行われました。芸術の授業に多くの時間を使っている生徒ほど、創造的思考力の能力が向上していることがわかったのです。創造的思考力には、次の4つの能力が含まれています。

・問題解決力:より多くのアイデアや問題解決へのアプローチが考えられる
・オリジナリティ:より多くの創造的な問題解決アプローチを生み出せる
・進化させる力:問題を解決するプランを作成する際、より詳細な案を練ることができる
・粘り強さ:多様な価値観を受け入れ、早計に判断を下さない。また解決策に対してすぐに満足しない

この調査によると、芸術で培った創造的思考力は、業界などに依存せず、すべての分野で発揮できるものでした。

音楽教育の効果については、ドイツのゲッティンゲン大学の教育学者、クリスチャン・リッテルマイヤー氏らの研究によっても指摘されています。音楽はひとりだけで完結できる美術と比べると、対人的な能力も求められる。よって芸術的な経験に加えて、人と人とのコミュニケーションを繰り返すことで効果を上げていると述べています。

美術も音楽もどちらも創造性が養われますが、それぞれ異なる脳の領域を使っているので、身につく能力に違いは出てきます。美術は、創造性を具現化して可視化する能力、音楽は創造性を表現したり人とコミュニケーションを取ったりする能力を育んでくれます。

もちろんどちらも取り入れることが理想的ですが、まずは、音楽を聴いてみる。または美術館へ出かけてみる。少しずつでもアートと触れ合うことで、創造的思考力をより磨く第一歩が踏み出せるでしょう。

文=秋山ゆかり

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