なぜ今、「公務員=カッコいい」が必要なのか

「よんなな会」を立ち上げた脇雅昭


なぜ脇は「公務員がカッコいい」と思われる世の中を創りたいと思っているのだろうか。そこには彼の危機感がある。

「安定や定時勤務の働きを“お役所仕事”というように、公務員は少なからず悪いイメージが持たれています。それによって、志の高い若者の選択肢から公務員が消えてしまう。そして、そのままでは『9時17時最高!安定最高!』という人たちだけが公務員になってしまいます」

さらにこう続けた。

「もちろん、頑張っていなかったり、悪いことをしている公務員がいたら、ボコボコに叩いてもらっていいんです(笑)。そのかわり、頑張って成果をあげている公務員は、もっと世の中で称賛を浴びてもいいと思っています」

公務員の世界では個人が活躍することに対するインセンティブが非常に弱い。ほとんどの公務員は年功序列の中で昇給、昇進する。新しい物事に挑戦すると、「余計な仕事を増やすな!」と組織の中で嫌われることも多い。酷いところでは「お前が頑張ったら、俺も頑張らなければいけなくなるだろう!」と筋違いな指摘をされることもあるという。そこへ追い打ちをかけるようにメディアから公務員バッシングを受ける。

しかし、そんな環境の中、休日にもかかわらずイベントに参加し、それを仕事に役立てようとする公務員が増えていることを、このよんなな会が証明している。


東京・渋谷ヒカリエで開催された第10回よんなな会の集合写真。約800人が参加した。

12日のイベントで脇は、立場の安定している公務員だからこそ「自分たちがもっとリスクをとるべきだ」と発した。第10回目という節目を超えたよんなな会が、そして、脇雅昭という一人の公務員が、どのようにリスクとリターンをテイクしていくのか、これからも目が離せない。

文=加藤年紀

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