なぜ今、「公務員=カッコいい」が必要なのか

「よんなな会」を立ち上げた脇雅昭

あなたの周りに「カッコいい公務員」と聞いてイメージ出来る人はいるだろうか。「カッコいい」と「公務員」というふたつの言葉の親和性はどことなく低い、というのが大方の意見ではないだろうか。

そんな中、「公務員がカッコいい」と思われる世の中を創りたいと声を大にするのが、総務省から神奈川県庁に出向している脇雅昭だ。脇は5年前に“よんなな会”という、国家公務員と地方公務員が一堂に介する会を立ち上げた。この会では成果をあげた公務員や政治家、著名人などの講演を聞き、その後に交流会を行う。

脇がよんなな会を始めた理由は“恩返し”だった。国家行政を担う府省庁には、地方自治体から出向して来ている多くの地方公務員が存在する。地方から出てきて知り合いも少ない中、土日も休まずに仕事をしている彼らに喜んでもらいたかった。

「目の前の仕事に追われている人」に来てほしい

11月12日に行われた第10回よんなな会には、ボランティアスタッフなどを含め800人が参加した。そのうち600人が公務員だった。第1回では60人程だった参加者が、5年の月日を経て10倍を超えた。この規模のイベントを公務員限定で行うことは極めてまれである。

登壇者も一味違う。前回の第9回は小泉進次郎氏と脇の対談、第10回はお笑い芸人キングコング西野亮廣氏が講演するなど、公務員向けのイベントとして異彩を放つ豪華な面々が登場している。直近2回は渋谷ヒカリエを会場とし、音響や照明、オブジェによる雰囲気づくりもするなど、場作りにも余念がない。


第10回よんなな会に登壇したキングコング西野亮廣氏。

第1回から5年が経過した今、「どういう人に参加してほしいか」と脇に尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。「志が高い人」ではなく、「目の前の仕事に追われている人」に参加してほしいのだという。

公務員は本来、世の中を良くしたいという想いからその仕事に就く人が多い。しかし気がつくと、日々の業務で忙殺されたり、ときには組織の論理で仕事をせざるを得ないこともある。よんなな会は、そんな時に原点へと立ち帰る場として存在しているのだ。
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文=加藤年紀

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