トランプを勝利させた「謎のビッグデータ企業」CEOの激白

Photo by Bryan Bedder / Getty Images for Concordia Summit

トランプの大統領選勝利に貢献したデータ分析会社、「ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)」は、これまで関わった選挙で無敗の記録を持つという。

「我々はこれまで30から100の選挙戦を戦い、100%の勝率を誇る」と、同社のCEO、Alexander Nixはポルトガルのリスボンで開催された「Web Summit」で語った。

ケンブリッジ・アナリティカは、「サイコメトリクス(心理統計学)」を駆使して人々の意思決定に大きな影響を及ぼす。同社をトランプ陣営に紹介したのは、トランプの娘婿であるジャレッド・クシュナーだ。ケンブリッジ・アナリティカは、「朝食に食べるシリアルの種類」など、人々に関する膨大なデータを収集し、その人にとって関心の高い問題や、心に“刺さる”メッセージを分析する。そして、同社の顧客である政治家や企業のために、彼らがリーチしたいターゲット層に対して効果的なメッセージを配信するのだ。

米大統領選や、ブレグジットを選択した英国民投票で大きな役割を果たした同社について、一部の人は「兵器化されたAIプロバガンダエンジン」と批判している。同社は、サイコメトリクスの効果について、ウェブサイト上で次の様にアピールしている。

「ケンブリッジ・アナリティカは、データを使って聴衆の行動を変えることができる」

Nixによると、同社はトランプ陣営のために4000以上のキャンペーンを実施し、10億を超えるインプレッションを獲得したという。一方で、彼はこうも述べている。「選挙において、正しいデータと正しいテクノロジーを用いることは極めて重要だが、候補者に実力がなければデータサイエンスの力をもってしても当選させることはでいない」。

Nixによると、トランプとヒラリーの大統領選は、従来とは根本的に異なるものだったという。「初のデータドリブンな大統領選だった。政策の訴求よりも、コミュニケーション方法の変更がカギを握った」とNixは言う。

ケンブリッジ・アナリティカは営利企業であり、選挙戦の争点について中立的な立場を取り、顧客にサービスを提供することだけに集中するという。Nixは、ロシアが米大統領選に介入したとされる問題については、「技術的にありえない」と一蹴する。

「ロシアが大統領選をハイジャックしたという考えは実に馬鹿げている。ロシアが我々に匹敵するテクノロジーと知見をたった数か月で構築できるはずがない」と彼は言う。

Nixにとって、ビジネスとは顧客にサービスを提供することに過ぎない。「我々は常に客観的であることを心掛けている。我々の役割は、顧客に最高のテクノロジーを提供し、選挙戦を勝ち抜く意思決定を行うためのツールを提供することだ」と彼は言う。

しかし、彼は、資金力のない政党とはビジネスをするつもりはないようだ。「我々は、主流政党としか組まない。弱小政党に協力することはしない」とNixは話した。

編集=上田裕資

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