LINEで気軽にできる「母の呪い」を解く方法

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両親とLINEで繋がっている人は多いですよね。お母さんの愛用スタンプにクスッとしたり、ちょっとした誤字が可笑しかったり。

通話だとムスっとしちゃうんだけど、チャットだとなぜか気軽なやりとりができたりして、「ありがとう」が照れくさくても、スタンプでなら素直に言えちゃうんですよね。

インターネットで家族と繋がると、不思議と照れ臭さが打ち消されるような気がしませんか? 日本人は感情を直接表現するのが得意ではなく、あまりよしとされてこなかった側面がある分、「スタンプ」などの非言語であれば、気持ちを素直に示せるのです。今はメールやチャット、ビデオ通話など、なんでも無料で繋がれる時代です。これらをうまく使いこなせば、普段なかなか会えない実家の親との精神的距離を縮めることだってできる。
 
前回の記事では、母親と呪いの関係について解説をしました。今回は実践編として、母親が子どもにかける“呪い”を、インターネットの魔法を使って解いた! という、とある女性のエピソードをご紹介します。
 
娘のスマイル画像攻撃!

彼女は、ものすごく心配性な母親によって、よく「そんなんじゃダメになる」というような呪いをかけられていたと言います。そんな調子で常日頃連絡をしてこられると、こちらも疲れているからつい「うるさい!」なんて返してしまい、関係がどんどん悪化してしまっていた。
 
そこで、言葉で返す代わりに、元気そうに過ごしている画像を週末のたびに送ったそうです。家でゆっくり自炊できた日は、「今日はこんなご飯を作った」と食卓の俯瞰画像を送れば“ちゃんと自炊しているのね”と安心してくれるし、「友達と旅行中」と言って記念写真を送れば、“元気にやってるのね、いい友達もいるみたいで安心”と、次第に心配をしなくなったそうです。
 
結局、親が子どもに呪いをかける動機は、「心配」であることがほとんどです。心配のあまり、「走ると転ぶわよ」と、そんなつもりはないのにまるで脅しのような表現で子どもに呪いをかけてしまう。
 
だからって、毎回電話したり休みのたびに帰省したりしなくても、LINEで気軽に画像を送ればいい。言葉であれこれ伝えるより、画像一枚の方がずっと説得力があります。彼女の場合は、定期的に画像を送ることでだんだんと心配されなくなり、実家に帰っても「若いうちに子供を産まないと」みたいな心配からくる“呪い”をかけられなくなったと言います。

登山が趣味なので、週末登山の画像を送るうちに「ちゃんと足腰も鍛えているみたいだし、あんたなら何歳だって産めるわよ」と、自分の仕事や生活スタイルを応援してくれるようになったのだとか。
 
大切なのは、「子どもを守らなければ…」という、母親を過度に縛っている鎖をどうやって解いてあげるかだと思います。さらに気をつけなければいけないポイントは、娘は「こういうことをやると母が悲しむんじゃないか」と、お母さんの心配のために受けたほんの気軽な呪いを、何倍にも増幅して受け取っているリスクがあるということ。

そのために辛い仕事をやめられずに自分を必要以上に追い込んでしまったりすることもある。そこを、双方から歩み寄って、鎖をほぐしあって、お互いへの期待値をできるだけ調整してあげる必要があるのではないでしょうか。LINEで気軽に近づいてみれば、娘も(あれ、そんなに気にしてないみたい?)という微細な温度差に気づけるかもしれないですよね。
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文=尾原和啓

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