「3軒に1軒が空き家」時代が来る前に確認すべき境界問題

Biserka Stojanovic / shutterstock.com


次に「越境物」。越境物とは、敷地の境界を越えて隣の建物や植栽などが少し出っ張っている、といったようなもの。越境している建築物があれば、再建築時には越境しない旨の覚書を、引渡しまでに隣地所有者との間で交わしておくこともポイントだ。これも不動産取引の一般的なルールとも言えるものだが、意外と忘れられていることが多い。



傾斜地などで、2メートルを超える擁壁(ようへき)がある場合には注意が必要で、将来リスクを想定しておく必要がある。なぜなら2メートル以上の擁壁を造る場合には、工作物として建築確認が必要となるからだ。

2メートル以上の擁壁をつくり替えることになった場合、現在ではその基本構造をRC(鉄筋コンクリート)で指定されることが多く、RC以外は基本的に許可がおりない。ところが以前は、大谷石や間知石(けんちいし)などの相対的に軟弱な素材で造られた擁壁も多かった。また現在では、擁壁は地面に対して垂直に建てることが定められているが、以前は斜めに擁壁を造ったりすることも認められていた。



新規にRCの擁壁を造ったら数百万円、場合によっては1000万円ぐらいかかるようなこともあり、こうしたコスト考慮すれば、売却や相続の判断にも影響があろう。一団の開発団地として開発された土地などの場合は、行政に「開発登録簿」がある。開発経緯を確認すれば、擁壁がきちんとつくられたものなのか、そうでないものかがわかる。しっかり確認しよう。

文=長嶋 修

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