「3軒に1軒が空き家」時代が来る前に確認すべき境界問題

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日本の空き家はこれから加速度的に増加する。野村総合研究所によれば、2033年には空き家が約2150万戸(同30%)になる推計だ。3軒に1軒が空き家となる事態はにわかには予想し難いが、このままでは確実にやってくる未来だ。

ところで「空き家」というと、読者の多くが潜在的に抱えているのが都市郊外や地方にある「実家の空き家問題」だろう。今は健在な親も、いつかはかならず状況が変わる。その時、空き家になった実家をどうするのか。そのときにもし実家を「売ろう」「相続しよう」と考えているなら、今のうちに絶対解決しておきたい問題がある。それは、不動産の「境界問題」だ。

まず、土地の取引にまつわるトラブルの圧倒的ナンバーワンはこの「境界問題」であることを覚えておきたい。隣地との境界があいまいなまま不動産取引を行うと、後々隣地と揉め事の種になることがよくあるため、一般的な売買では「引き渡しまでに境界を明示すること」といった取り決めをすることが多い。これはたんに境界標を確認するだけでは足りず、隣地所有者との合意文書が必要だ。

親の実家は多くのケースで古い住宅地などが多く、隣地との境界があいまいなことも多い。親がいなくなり所有者が変わった時、どこを境界としていたのかはっきりさせておかないと、売ろうと思ってもそもそも取引が成立しない、相続後に隣地所有者とトラブルになる可能性もあるのだ。

まずは「境界標」の有無を確認しよう。意外と多くのケースで、そもそも境界標がなかったり、あったとしても土に埋もれるなど隠れて見えなくなっていることが多い。いずれにしても境界が明示できる状況でなければ、親が健在なうちに隣地所有者と協議して合意文書を交わし、境界標がなければ新規に境界標を設置しておきたい。



そして、境界線上に立っているブロックなどの塀の所有権をしっかり確認しよう。通常、境界線上の塀は折半とされていることが多いが、必ずしもしもその限りではない。隣地所有者との決めごとが具体的にどのようになっているのか、確認が必要だ。

こういった境界確認の手続きは「土地家屋調査士」に依頼するのが一般的で、費用は作業量により異なるが数万円~数十万円というところだ。
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文=長嶋 修

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