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「休日分散化」をご存じですか?

 正確に言うと、「大型連休の地域別取得」。2004年に政府の観光立国推進戦略会議に参加して以降、私はひたすら「休日分散化」を唱えてきました。(中略)きっかけは、00年に長野県知事に就任した田中康夫さんでした。田中知事は私を呼び出すと、「これからは長野県全体のことを考えてください」と、おっしゃる。それまで自分の会社のことで頭がいっぱいでしたが、初めて真剣に考えたのが、「長野県が観光業で競争力をつけるにはどうしたらいいか」です。

 調べてわかったのは、温泉地と観光地は稼げる日が少なすぎるということ。365日で高速道路と宿が混雑する日はわずか。「軽井沢の渋滞がひどい!」と、皆さんおっしゃるけれど、本当に渋滞している日はたった30日。残りの335日はガラガラでした。それなのに、繁忙期を基準に道路を広げろという議論で公共投資をするのでは採算が合いませんよね。

 そこで発想を逆転させました。だったら集客の少ない335日にお客さんに来てもらう方が、長野県全体の生産性ははるかに上がる。思いついたのがゴールデンウィークを日本全国5地区に分けて、北海道のGWは今週、東北は来週という具合に、それぞれ2500万人ずつに分け、毎週地域別に休日を取るやり方です。1億2000万人が一斉に大移動するのではなく、2500万人しか動かないから交通はスムーズになり、需要が落ちて宿泊代は安価になり、予約も取りやすくなる。3泊できた人が4泊5泊できるようになる。おまけに、満足度は上がるし価格は下がる。(中略)しかも休日分散化は公共投資と違って財政の出動がいらない。ゼロ円で消費者が快適になり、ゼロ円で供給者の生産性が上がる。だから、フランスが1995年に導入するなど、諸外国はどんどん取り入れています。観光産業は日本国内の需要だけで23兆円です。こうした流れをつくるだけで、地方の観光産業は活性化し、海外からのインバウンドを呼び込め、理想的な循環ができます。

 観光庁はインバウンドを訪日外国人客数で評価していますが、私は疑問に感じています。なぜなら、日本の訪日外国人客数は600万人から1300万人と倍になったものの、アジアでは相変わらず8位。シェア争いでは勝てていない。しかも、国内の観光産業23兆円のうち外国人観光客が影響を及ぼすのは、約5%。たとえ、それが15%になったとしても、観光立国とはいえないのではないでしょうか。すでにある23兆円の需要から、地方がいかに収益を上げて、投資や賃金に回していけるか。私は、アドバイザリー・ボードとして参画しているG1サミットのメンバーと協業して、地方の皆さんがプライドを抱けるような観光産業を形にしていこうと思っています。(以下略、)

星野佳路

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