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2017.11.18 11:00

日本人の好みに合う? いま「南インド料理」がアツい理由

写真=ナイル善己

写真=ナイル善己

お昼どき、ふと「今日はカレーを食べようかな」と考える。すると、頭の中はカレー一色に染まり、カレー店を探さずにはいられなくなる。カレーにはひとたび因われれば、そこから逃れられない呪縛のチカラがあるようだ。恐るべし、カレーのオブセッション。
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ではアナタが「カレー」とイメージするとき、そのカレーとはどんなカレーだろうか。福神漬けを皿の脇に従えたクラシカルなカレーライス? それとも、ナンやサフランライスと食べるチキンマサラやひき肉のキーマカレー? 出汁のきいたカレーうどんを思い浮かべる人もあることだろう。

カレーは日本の国民食でもあり、100人いれば100様のカレーが存在するはずだが、そのカレーの姿にいま、大きな変化が生じている。

その変化とは、南インド料理の台頭。文字通り、インド南方のケララ、ハイデラバード、ゴアなどにおける郷土料理がいま、東京のインド料理シーンを席巻していると行っても過言ではないのだ。これまで北インド料理中心だったメニューをどんどん南インド料理方向へシフトし、路線を変更する店が続出している。
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まず、北インド料理と南インド料理の違いから説明していこう。北インドは乾燥しており、寒暖の差が激しく、南インドは温暖湿潤な気候ということだが、おそらくこの気候の違いによるものか、カレーの質感が北はこっくりとクリーミー、南は汁気が多くてシャバシャバ。北はお肉が中心で、南は菜食とシーフード。

日本では北インド発祥の宮廷料理が先に広まったせいか、インド料理といえば長らくバターやクリームを使ったリッチなカレーが中心だった。ではなぜいま、南インド料理なのだろう。

「南インド料理はあっさりとしてヘルシー。米食ですし、日本人の好みにあっているのでは」と語るのはナイル善己さん。この「ナイル」という名前に「ん?」と思われた方はインド通だろう。1949年、東銀座で創業し、日本最古のインド料理店である「ナイルレストラン」の三代目である。

このナイル善己さんは日本生まれだがゴアの五つ星ホテルで修業を積み、このほど著書「南インド料理とミールス」(柴田書店)を上梓した。同書では、南インドの基本的な料理法から、スパイスの使い方、代表的な料理のレシピを網羅。初心者にもわかりやすく解説している。

「南インドは暑い地域なので加熱を短時間にし、素材のフレッシュな旨味を残すのも日本人好みでしょう。ごはんを中心にカレー類を混ぜながら食べていくミールスは和定食とも似ています」

このミールスとは、お盆やトレイに敷いたバナナの葉にごはんやおかず(カレー類)、チャツネ、ヨーグルトを盛り込んだ定食のこと。



まず、胡椒のきいたスープ“ラッサム”や、豆と野菜のカレー“サンバル”をごはんにダーッとかけ、そこに日替わりのカレーを好きなように混ぜながら食べ進む。ひと口食べてあっさり、ふた口食べてもあっさりとしているが、食べ終わると不思議にじんわりと汗をかき、また食べたくなるという、クセになる美味しさだ。

いまこの南インド料理ブームにより、猫も杓子もミールスやビリヤニ(インド風炊き込みごはん)をメニューに載せはじめ、都内のインド料理店はちょっとしたカオス状態だ。ナイル善己さんおすすめのミールスは「ダルマサーガラ」(東京・東銀座)、「エリックサウス」(東京・八重洲)、「アーンドラキッチン」(東京・御徒町)などで食べられるというから、ご興味のある方はぜひここからチェックを。

最後にこの南インド料理は自ら料理しても楽しい。筆者はこの本との出会いにより、フィッシュフライ(いわしのスパイス焼き)、チキンビリヤニ(鶏のインド風炊き込みごはん)、ウタッパム(米粉のお好み焼き)にチャレンジしたが、どれも美味しくできあがり、自宅の食卓でエキゾチックな旅気分を味わえた。我が家のキッチンは当分スパイシーに香りそうである。

ダルマサーガラ
東京都中央区銀座4-14-6 ギンザエイトビル2F
03-3545-5588
月~金11:30~14:30(L.O.14:00)、18:00~23:00(L.O.22:00)
土・日・祝12:00~15:00(L.O.14:30)、17:30~22:00(L.O.21:00)
日曜休

エリックサウス 八重洲店
東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街 中4号 (八重洲地下二番通り)
03-3527-9584
月~金11:00~15:00、15:00~22:00(LO21:30)
土・日・祝11:00~15:00、15:00~21:30(LO21:00)
無休

アーンドラキッチン
東京都台東区上野3-20-2 水野ビルB1F
03-5818-6564
月~金11:15~15:00(LO 14:30)、17:00~23:00(LO 22:00)
土・日・祝11:30~15:00(LO 14:30)、17:00~22:00(LO 21:00)
無休

文=秋山都

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