ビジネス

2018.01.21

二人のCEOに聞く「経営に必要な資質」

アストロスケールの岡田光信CEO(左)とUUUMの鎌田和樹CEO


苦しいから美しく見える

岡田:順風満帆に見えると言われますが、「バレリーナ症候群」みたいなものです。バレリーナが一番美しく見える瞬間は、一番苦しいはず。つま先立ちして足はつりそうなぐらいプルプルして。そういうのが経営でもあるのではないかと思うんです。

経営者はヒト、技術、お金、国際関係、交渉などを同時に考えています。自分は楽器を弾けないけれども、オーケストラの奏者をコントロールしている指揮者みたいなものです。プルプルしつつも、常にハッピーで堂々としていられるのが理想ですね。

鎌田:僕はもっと市場を作りたいなど、社長としてのやりたいことが止まらず溢れています。岡田さんのオーケストラの例えでいうと、次の演目に入れたいものがたくさんある。事業でやりたいと決めていることがあっても、やれる人がいないと進めない。適任者が入ってきて、やっと事業としてスタートできるという状態です。このスピードを速めたいですね。

理想の状態というのはありますが、永遠にたどり着くことはないと思います。現在の理想にはたどり着くのでしょうが、その時にはすでに次のやりたいことが見つかっているはずなので。理想とかやりたいことがどんどん生まれて、次々に行動に移していく人が社長なのではないでしょうか。この会社に関して僕が誰にも負けないことは、会社の良さや好きなところを永遠に語れる情熱。人がついてきてくれたら勝手に会社は大きくなっていくだろうと思います。

岡田:創業者って、いつも坂の途中なんですよね。一つを解決したらまた次に解決したいことがなる。僕はスペース・デブリを除去できたら次に解決したいことが出てきていると思う。デブリはめちゃくちゃ多いから、生きている間に終わるかどうかわかりませんが(笑)。


岡田光信(おかだ みつのぶ)/アストロスケールCEO ◎1973年生まれ。シンガポール在住。東京大学農学部卒業。Purdue University MBA修了。高校生のときにNASAで宇宙飛行士訓練の体験をして以来、宇宙産業への思いが強くなる。宇宙ゴミを除去することを目的とした宇宙ベンチャーASTROSCALE PTE. LTDを創業。

鎌田 和樹(かまだ かずき)/UUUM(ウーム)株式会社 代表取締役・CEO◎19歳で上場企業へ入社。出店担当として社長より直々に携帯電話ショップ出店を任命されテレコムサービス株式会社にてソフトバンクショップを単月100店舗出店。 ショップ運営、アライアンスなどさまざまな経験をつむ。2011年からはイー・モバイル一次店の代表取締役を務める。数々の功績を残した後、孫泰蔵氏との出会いから衝撃をうけベンチャーの道へ。その後、HIKAKINとの出会いをうけて30歳を手前に独立。

構成=星野陽子 写真=藤井さおり

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