Gurmanは関係筋への取材により、この情報をつかんだという。アップルのヘッドセットは「rOS」と呼ばれるOSで稼働するという。rOSの“r”はリアリティを意味していると考えられる。
アップルはARKitのリリース以降、AR分野をリードするポジションにあり、AR関連のアプリは既に1000以上に達している。アップルがAR分野に注力するのは自然な流れだ。ティム・クックは今年、筆者のインタビューで次のように述べていた。
「ARはVRのように、人々を現実空間から隔離することがない点が魅力的だ。ARテクノロジーで人々は現実空間に居ながら、新たな体験が可能になる。世間の人々の大半は、長時間に渡り現実空間から遮断されることを好ましく思わないし、現状のテクノロジーでは“VR酔い”の問題もある。ARはVRよりも自然な形で人々の暮らしに溶け込める点がメリットといえる」
ただし、アップルがソフトウェアだけでなく、ARヘッドセットを開発する意思を持っているかどうかは明らかではない。クックは筆者の取材に対し、次のように述べていた。
「ARはスマートフォンと類似した次世代のプラットフォームになり得る。iPhoneに限らずスマートフォンは全ての人々に開かれたプラットフォームになった。ARもスマートフォンと同様な巨大な基盤になり、人々の暮らしを変える可能性がある。本格的な導入を実現するためには、解決すべき課題も多いが、ARは確実に人類の暮らしを変えるツールになると考えている」
筆者は個人的には、アップルが注力するのはヘッドセットのようなハードウェアではなく、ソフトウェアだと考えている。クックは先日の英インディペンデントの取材に対し、現状ではARはまだ発展途上にあるテクノロジーであり、本格的な普及にはディスプレイ技術の発展や、様々な技術的課題を解決する必要があると述べていた。
アップルがAR分野への注力を高めているのは明らかであり、同社は様々なアプローチでその可能性を切り拓いていくだろう。しかし、AR体験においてヘッドセットが最適なツールであるかどうかは未確定だ。
Mark Gurmanは確度の高いリーク情報で定評があるが、今回のヘッドセットの件に関しては、筆者個人としてはかなり疑問を抱いている。