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ドナルド・トランプ米大統領は自らの就任以来の主な業績の一つとして、米国の株式市場が好調であることを繰り返し強調している。

トランプが大統領に選出されて以降、ダウ工業株30種平均は19%、S&P500種株価指数は16%、ナスダック総合株価指数は26%、ラッセル2000指数は9%上昇した。だが、これらの指数はいずれも、ヒラリー・クリントンが大統領に選出されていたとしても、同様に変化していただろう。そう考えられる理由は、次の7つだ。

1. 経済は世界的に成長

国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによると、2016年の世界経済の成長率は、3.2%だった。また、IMFは10月、今年と来年の世界全体の成長率予想を0.1ポイント引き上げ、それぞれ3.6%、3.7%とした。

IMFは報告書で、「ユーロ圏、日本、アジアと欧州の新興経済国、ロシアにおいて幅広く上方修正が行える状況は、米国と英国の下方修正が必要な状況を相殺して余りある」と指摘している。こうした世界経済の状況は、米大統領がトランプではなくても起きていたはずだ。

2. 米企業の業績は堅調

金融データ会社の米ファクトセット・リサーチ・システムズは、S&P500種株価指数の構成銘柄となっている各社の利益は今年、前年比10%増加、2018年には今年よりさらに11%増えると予測している。

仮に影響があったとしても、トランプのイニシアチブが今年の企業業績に好影響を及ぼしたとは考えられない。大型法案は一つも成立していない。こうした状況はいくらかの不確実性を生じさせることはあっても、株式市場に好影響を与えることはほとんどない。

3. 一部企業が市場をけん引

大型ハイテク銘柄群のFANG(ファング:フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル/アルファベット)、そしてアップル、インテル、マイクロソフトなどの株価を見てみると、いずれも大幅に上昇している。

ジョーンズトレーディングの首席市場ストラテジストによると、S&P 500種株価指数の構成銘柄のうち、上位5社の指数上昇に対する貢献度は29.7%、上位10社の貢献度は40.2%だった。これらの企業やその株式市場への影響力に、トランプが大きく関わっているとは思えない。

4. 米金利は依然として低水準

連邦準備制度理事会(FRB)は今年に入り、非常にゆっくりとしたペースで利上げを行っている。また、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行(BOJ)は国債の購入を続けている。さらに日銀は株も買っており、これが株価の引き上げにつながっている。

低金利であることに加え、株式市場は利益を得られる数少ない場の一つだという「TINA(There Is No Alternative、他に代替がない)」という考えも残っている。クリントンが大統領になっていたとしても、金利が大きく変わっていたとは思えない。

5. インデックス・ファンドに資金が流入

市場の平均以上の利益を出すことを目指すアクティブ・ファンドから、指標と同じような動きを目指すインデックス・ファンドに資金が流れている。インデックス・ファンドには時価総額ウエート型が多いため、流入する資金は時価総額が極めて大きい銘柄に向かうことになる(上記3.と関連)。トランプがこうした傾向に影響を与えているとは考えられない。

6. 通商関係が混乱

トランプは大統領に就任した直後に、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱すると表明。各国とは2国間の貿易協定の締結を目指すとしている。だが、そうすることでTPP参加国との貿易においては、中国が米国の競争相手となる可能性が出てくる。各国は自国経済を守るために都合の良い交渉を求めるようになるためだ。

トランプはまた、北米自由貿易協定(NAFTA)についても見直しを求めている。カナダ、メキシコが米国にとって重要な貿易相手国であることを考えれば、これはかなりのワイルドカード(不確実要素)だ。

7. 北朝鮮問題

トランプの対北朝鮮戦略を批判はしないとしても(そのようなものがあるなら、だが)、大統領のコメントやツイッターへの投稿は、株式市場に影響を及ぼし得るものだ。影響は短期間にとどまる場合が多いが、それでも脅威になる可能性があることには変わりがない。クリントンがこうした影響を及ぼすことがあったとは思えない。

世界経済に実際に何が起きたのか、そして株価が上昇した理由は何なのかを見てみると、株式市場は「クリントン大統領」の下でも、同様に好調を維持したと考えることができる。

編集=木内涼子

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