ビジネス

2017.12.04

マーケターが陥りがちなデジタルツール活用の「罠」

APIWICH PUDSUMRAN / shutterstock


2. 情報は部門横断的に共有する

ビジネスの健康状態は、あらゆる関係者に常に共有されているべきだ。お互いに何をやっているか、自分の仕事が他部門にどのような影響を及ぼしているかを常に把握できる状況をつくることで透明化が促進される。

マーケティング部署も例外ではなく、部内外の情報を社内と共有することで、相互理解の深化と信頼関係の強化につながり、部門を横断したスムーズな連携を生む。

データの共有には組織の壁があり、必ずと言っていいほど反対勢力が現れる。これを回避するにはトップマネジメントのコミットが不可欠であり、その強いリーダーシップによりこれを実行する必要がある。
 
3. データに基づいた議論を習慣化する

主観的な意見に振り回されないためには、関係者全員が共通の事実に基づいて会話や議論する必要がある。これを、リアルタイムで信頼性の高い組織共通のデータでおこなう習慣を作ることで、無駄や誤解のないコミュニケーションが生まれ、より全体最適につながる判断が加速される。

上記2つ目で紹介した共有が徹底された企業では、マーケティング部門のみならず社内全体でデータに基づいて行動するというカルチャーが根付いているケースが多い。
 
4. 現場判断の自律化を促す

前回のコラムで紹介した通り、マーケティングのマネジメント方法をデジタルの時代にふさわしい形へと変え、現場スタッフが主体的に判断しアクションを取れるようにする。
 
5. データごとの確認頻度を把握する

マーケティングにおけるデジタル化を促進すれば、取得できるデータ量は膨大になり、しかも増え続ける。

データは、それぞれ確認すべき頻度が異なる。毎時、毎日、毎週など定期的な確認が必要なデータもあれば、異常時のみ確認できれば事足りるデータもある。想定外の状況になった時だけ即時に自動通知される「例外管理」に対応するプロセスを導入することで、データ確認の時間は大幅にカットでき、マーケターのビジネスパフォーマンスを高めることができる。
 
「全体像の把握」がコツ

マーケティング部門のデジタル活用で陥りがちな罠は、個別のテクノロジーの選定や利用だけにとらわれすぎ、全体像の把握をしないことだ。人材やツールに投資した割にリターンが低く、組織のスピードや生産性も上がらないと感じる理由は、多くの場合、担当者の能力ではなくここにある。

マーケターは、リアルタイムかつ一元化されたデータからのみ、適時適切な判断とアクションを行うことができる。これこそが、現代のテクノロジー活用における必要最低条件なのである。

文=斉藤 梨沙

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