「ARアプリの個数が短期間で1000以上に達したことは、2008年にアップストアを立ち上げた当初の熱気を思い起こさせる」とクックは述べた。
ARアプリの数は今後、飛躍的に伸びることが予想される。アップストアは当初800個のアプリで2008年に立ち上がり、1年後にアプリの数は3万5000を超えていた。現在では数百万個のアプリが公開されており、アップルは10年間で700億ドル(約8兆円)以上をアプリのパブリッシャーに支払っている。
しかし、スマホのアプリが我々の暮らしに欠かせないものになる一方で、スマートフォンが人々を現実世界から切り離す要因になるとの見方も浮上している。クックはARアプリがこの問題を解決する助けになると考えている。
「ARアプリは人々を再び現実世界に向かわせる効果を持つ。ARテクノロジーは、スマートフォンをこれまでよりも人間味のあるツールに変える」とクックは述べた。
VR(仮想現実)が主にヘッドセットを通じて、視界の全面を覆うユーザー体験を与えるのに対し、ARは現実世界にレイヤーを重ね合わせてオブジェクトを表示する。これにより、人々はリアルな空間とつながりながら、新たな体験をすることが可能になる。
イケアやアマゾン等の企業は既にARテクノロジーを用い、家具や様々な商品が家庭内のスペースにどう収まるか確認できるアプリを提供している。また、様々なデベロッパーたちがARをゲームに利用し、バーチャルなロボットや景色、武器などがリアルな空間に出現するアプリを公開中だ。
アップルは今夏リリースされたiOS 11の公開に合わせ、ARアプリ開発キットのARKitをリリースした。それに続きグーグルも同様の開発キットARCoreを発表した。マイクロソフトはARを"mixed reality"やMRといった名前で呼んでいる。