この春に訪れた、IWC「ダ・ヴィンチ」との出会い

photographs by Kazuya Aoki illustration by Adam Cruft

電通、マッキンゼーなどでキャリアを積んだ武井さんは、マーケティング、そして声楽のプロ。そんな武井さんには、今年、名門時計ブランドIWCとの出会いがあった。もはやIWCファンという武井さんに、その魅力を語ってもらった。


「タイミングってあるな、と思いました」武井さんは、腕につけたIWCの新作「ダ・ヴィンチ」を見ながら、しみじみと語りはじめた。

実は、武井さんは今年5月にフォーブス ジャパン(9月号)の「IWCの伝統と5人の日本女性たち」という企画で、各分野で活躍する女性のひとりとして、IWCの本拠地であるスイス北部の街、シャフハウゼンを訪れている。

「長く広告業界にいたので、もちろんIWCのことは知ってました。当時、周りにいたクリエーターの人たちは時計好きが多く、IWCをしている人もたくさんいましたから。時計好きって、見せたがるし、時計について語りたがるでしょ? いろいろ説明されました(笑)」

ただ、IWCは知っており、好感は持っていたのだが、のめり込むほどのことでもなかったようだ。そもそもIWCの腕時計は男性用がメインであり、女性がつけるには少々大きかったり、ガジェット感が強い、という印象だったこともある。

それが今年、「ダ・ヴィンチ」コレクションにさまざまな女性モデルが登場して風向きが変わる。1月の新作発表会 “ジュネーブサロン” でも、IWCは女性モデルが豊富に揃う稀有な年でもあった。

「実は、時間は携帯でいいと思って、ここ10年ほど日常的に腕時計をつけていなかったんですよ。それが人生も半分を超えようとしているのに、腕時計をしていないのが嫌だな、と、ふと思い、何を買おうかと母に相談していたタイミングで、シャフハウゼン行きのお話がきたんです」

スイスには、2002年の日韓ワールドカップの仕事でFIFAマーケティング本部に行って以来、15年ぶりだったが、この渡航でIWCへのイメージが変わったという。「シャフハウゼン自体が、ものすごくドイツらしい街。スイスというよりもいい意味での南ドイツな感じがものすごくある街で、ちょっとビックリしました」

それで、IWCの時計が「シンプルで、華美にはならないけど美しい」理由が何となくわかったという。ドイツっぽいのである。

「現地で時計師のクルト・クラウスさんにお話をうかがったんですが、彼は時計というのは使われることに価値があるのだから、壊れないことが大事。構造をなるべくシンプルにして、修理もしやすいように、ということを訥々(とつとつ)と語っていらした。こういう思想の会社の時計は、私はすごく好きだな、と。一気にファンになりました」

時計のような一生もののガジェットは、出会いだと断言する武井さん。今春の邂逅はとても素敵なものだったようだ。



ムーンフェイズ表示を備えたケース径36mmの腕時計。レッドゴールド製ケースにサントーニ製ブロンズカラー のアリゲーター・ストラップを組み合わせた高級感のあ る容姿。さらに半球形のリュウズも美しく、大人のラグ ジュアリーを愉しみたい女性に最適のモデルとなってい る。ダイヤルはシルバーメッキ製。ベゼルのゴールドと 針のブルーからなるコントラストが、ムーンフェイズ表 示の彩りとリンクしている。

ムーブメント:キャリバー35800 自動巻き
パワーリザーブ:約42時間
ケース素材:18Kレッドゴールド
ケース径:36mm
価格:1,850,000円
問い合わせ:IWC 0120-05-1868


武井涼子◎東京大学卒。コロンビア大学ビジネススクールにてMBA取得。電通、マッキンゼー、ディズニーなどを経て現在グロービス経営大学院准教授。マーケティング講師を務める。国連本部で歌うなど声楽家としても活躍。


text by Ryoji Fukutome

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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