都市伝説「フェイスブックは会話を盗聴している」の真実度

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フェイスブックは昨年、ユーザーの会話を盗聴して内容に合った広告を表示しているとの疑惑を否定する声明を発表した。先日、テクノロジー系ポッドキャスト「Reply All」でホストを務めるPJ Vogtは、フェイスブックが盗聴をしていると思うリスナーに対し、番組に電話をするようツイッターで呼びかけた。

これを受けて、フェイスブックの広告担当バイスプレジデント、ロブ・ゴールドマンは、PJ Vogtのツイートに次のように返信した。「私は、フェイスブックで広告商品を担当している。我々は、ユーザーのマイクから情報を得て広告に反映させたことはこれまで一度もない」

この他にも、フェイスブックアプリが会話をこっそり聞いていると訴える男性のユーチューブ動画がReddit上で拡散している。この男性によると、これまでスマホで猫やキャットフードを検索したことがないにも関わらず、ガールフレンドにキャットフードを購入すると伝えた直後にフェイスブックアプリ上にキャットフードの広告が表示されたという。この動画は、これまでに9万9000件の「いいね!」を獲得しており、同様の経験をしたユーザーから多くのコメントが寄せられている。

フェイスブックは、昨年公表した声明の中で次のように述べている。「フェイスブックは、スマートフォンのマイクを使って情報を取得し、広告やニュースフィードの内容に反映することはしていません。我々がユーザーの会話を盗み聞き、関連する広告を表示していると指摘する報道もありますが、事実ではありません。我々は、ユーザーが話す内容ではなく、興味やプロフィール情報に合わせて広告を表示しています。ユーザーが音声を必要とする機能を使用する際に、マイクの使用を許可した場合に限ってアプリはマイクにアクセスをします。こうした機能には、動画撮影や、2年前にリリースした近況をアップデートする際にBGMなどを認識する機能が含まれます」

フェイスブックは、ユーザーの投稿やコメント、「いいね!」したページ、クリックしたことのある広告などの情報を使ってターゲティング広告を配信している。また、プロフィールに記載されている年齢・性別や、所在地、使用しているデバイスなどのほか、ユーザーが利用したフェイスブック以外のウェブサイトやアプリの情報も利用している。ユーザーは、フェイスブックの「広告設定」ページで、どのような情報が広告に利用されているか確認することができる。

「偶然に過ぎない」との反論も

広告業界の情報サイト「AdAge」によると、フェイスブックはユーザーの会話の内容に基づいて広告主がターゲティング広告を配信できる機能を提供していないという。TBWAでグローバル・データ・ディレクターを務めるBaker Lambertは、AdAgeとのインタビューで次のようにコメントしている。

「人々は陰謀説に飛びつきやすい。フェイスブックのように数億人ものユーザーが利用し、何百万もの広告が配信されていれば、0.1%ほどのユーザーは自分の会話や行動に合致する広告が表示されて不気味な思いをすることがあるだろうが、それは偶然に過ぎない」
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編集=上田裕資

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