目指すは「家畜のヘルスケア」、畜産業とAIの現在

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ウェアラブル端末で家畜を追跡

畜産業でAIを活用するためには、家畜に装着するウェアラブル端末の存在も非常に重要になってくる。家畜のビックデータを収集できてこそ初めて、その利活用を進めることができるからだ。

現在、牛だけに限らず、豚や鶏など各家畜にウェアラブル端末を装着させ、その生体情報やトラッキングデータを利活用しようという動きが、世界の畜産農家の中で広がりつつある。日本で始まったプロジェクトのように、生産性向上を目的とするのはもちろんだが、家畜の事故防止など「家畜福祉」、そして最終的に「食材の安全」を確保するという目的もあるようだ。

現在、ヘルスケア×AI分野では、人間の体温や脈拍などをデータとして管理・分析し、病気の予防や妊娠率、身体のパフォーマンス向上につなげようというサービスも登場しはじめている。ここで紹介した日本のプロジェクトは、さしずめ「家畜のヘルスケア」を目指すものと言い換えることができるかもしれない。またウェアラブル端末で家畜の安否を管理しようという試みは、子供や高齢者の見守りに近いものがある。

今後、畜産業で培われたテクノロジーが、人間の健康を守る手段として応用されていく可能性も決して否定できないだろう。人間と動物の両者のメリットを守る横断的なテクノロジーの発展に、今後とも注目していきたい。

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文=河鐘基

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