「AIスピーカー」戦国時代、セキュリティーが重要課題に

George W. Bailey / shutterstock.com

話題のIoT端末機器・家庭用AIスピーカー(以下、AIスピーカー)が世界的に普及の兆しを見せている。米国ではすでに800万世帯が利用しているとされており、2017年には世界累計販売台数は3300万台以上に達すると見込まれている。

現在、AIスピーカー市場を牽引するのは、米国内でシェア7割以上を誇る「アマゾン・エコー」で、それを追のは「グーグルホーム」だ。販売台数の堅実な成長が見込まれている分野だけに、各メーカーおよびIT企業から新商品の構想・発売予定が相次いで発表されている。

一例では、Appleの「HomePod」(北米、イギリス、オーストラリアでは2017年末発売予定)、マイクロソフト「Invoke」、パナソニック「SC-GA10(仮称)」、ソニー「LF-S50G(仮称)」、サムスン「VEGA」などがある。日本市場でいち早く発売開始されそうなのは通信アプリ大手のLINEが手がける「WAVE」(2017年秋発売予定)だ。上記以外にも参入をほのめかしている企業は多く、まさに「AIスピーカー戦国時代」とも言うべき状況だ。

AIスピーカーは、ユーザーが話しかけた日常会話を理解し、音楽再生、ショッピング、質問への回答などのタスクを処理してくれる。例えば「ビートルズの曲をかけて」と語りかければ、スマホの中やクラウド上にあるその曲を再生してくれる。「バターが切れたから注文して」と言えば、自動でショッピングサイトに注文してくれるのだ。

IoT機器に詳しい専門家のひとりは、「AIスピーカーは今後、生活を手助けしてくれるアシスタントやハブというよりも、コントロール端末そのものになっていくはずです」と言い、次のように説明する。

「ユーザーがAIスピーカーに話しかけることで、スマートロックや電子レンジ、お風呂、エアコンなどIoT家電を簡単に操作できるようになる。いわば家全体のリモコンのようなものになるでしょう。家電側がIoT対応するという点が前提条件になるものの、AIスピーカーが『スマートホーム』を実現してくなかで、キーテクノロジーになること間違いありません」

現時点では、AIアシスタントに連動したIoT家電もそれほど多くないため「タスク処理範囲」は限定的とも言えそうだが、今後、その利用シーンや利便性は着実に広がっていくと見込まれている。

IT情報サイト「スクラムベンチャーズ」によると、2017年の「Consumer Electronics Show(CES2017)」では、アマゾン・エコーの人工知能「Alexa」を搭載するとしたIoT家電、もしくはデジタル製品が約700点以上展示されたそうだ。その1年前にはわずかひとつ(フォードの自動車)だけだったことを考えると、スマートホームの司令塔としてのAIスピーカーという位置づけは、予想しているより早く確固としたものになっていくのかもしれない。
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文=河鐘基

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