ビジネス

2017.11.08 10:00

Zendeskは日本でも「コールセンター革命」を起こせるか?


日本でもすでにそうした取り組みは行われている。Zendeskを利用するあるゲーム会社では、企画・開発・サポートが三位一体でミーティングを実施。企画・開発チームがユーザー視点のフィードバックを得て、製品開発に役立てているという。

「カスタマーサービスを重視する日本の企業が増えている」と指摘するのは、Zendesk日本法人の藤本寛(ゆたか)社長だ。

「サポートデスク業務の役割を問い合わせ対応に留める会社が多い中、顧客との関係全体の流れを理解しようと、『カスタマーサービス』を意識する会社が増えています」と、日本企業の変化について話す。

スヴェーンも「日本の企業こそ、顧客満足度を高めるPDCAサイクルを有効活用できるかもしれない」と考えている。「日本の企業は顧客の信頼を勝ち取る努力を怠りません。相性はいいはずです」

企業がカスタマーエンゲージメントを高める上で、考えるべきポイントが3つある。

1. 顧客が利用しやすい適切なコミュニケーションチャネルを用意しているか
2. 顧客にとって重要な新しい情報を積極的に共有しているか
3. 顧客が好きなときに、必要な情報にアクセスできるようにしているか

中でも重要なのが、1だ。「電話やメール、ウェブフォーム、チャット、LINEやフェイスブックなど、顧客が利用したい適切なコミュニケーションチャネルを用意しているか」だと、スヴェーンは話す。

そして、製品そのものにカスタマーエンゲージメントの機能を組み込むとよい。例えばアプリであれば、使用中に問題が発生しても、その場で運営者とすぐに連絡が取れるようにチャットやフォームを用意する。利用者に通信できる場を提供することで、良好な関係を築けるようになるのだ。

「かつての人間関係は学校や職場で築かれたものです。今日の私たちの人間関係はオンラインで起きています。ビジネスがネット上で充実した関係を作るのは簡単ではありません。でも、それを手伝うのが私たちの使命です」と、スヴェーンは語る。

企業と消費者の関係をより能動的なものに──。派手さに欠けても、Zendeskは確実に世界を変えようとしている。


ミッケル・スヴェーン◎クラウド型ヘルプデスクソフトウェア開発企業「Zendesk」の共同創業者兼CEO。母国デンマークでIT企業を立ち上げた後、テクノロジー系コンサルタントに転身。インターネットが普及する中、電話対応が中心で遅れていたサポートデスク業界のデジタル化に可能性を見出し、2007年にZendeskを創業。15年には、創業期の逸話をまとめた『Startupland』(未邦訳)を上梓している。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ラミン・ラヒミアン

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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