「全米にあるAutoNationの店舗において、ウェイモの自動運転車の保守や修理を行う。当面は、クライスラーのハイブリッドミニバン”パシフィカ”が対象だが、今後ウェイモがブランドを追加すれば対象車種を拡大する」とAutoNationは声明の中で述べている。両社は、複数年契約で合意しているが、金銭面での条件は明らかにしていない。
AutoNationの会長兼CEOであるMike Jacksonは、声明の中で次のように述べている。「AutoNationは、モビリティが変化する中においても、ブランド力や優れたサービスとメンテナンス力、イノベーションに対するコミットメントによって引き続き業界をリードする」
ウェイモをはじめ、自動運転技術を推進する企業は、自動運転車が2020年頃から、主にローコストなオンデマンド配車サービスで普及すると考えている。もしそうなれば、都市部を中心に車の個人所有が減り、ディーラーにとっては大きな痛手となる。一方で、全米に数多く存在するディーラーの修理工場は、自動運転車の修理・保守サービスを提供するには最適な施設だ。
「AutoNationは近代的な設備を全米展開し、熟練した技術者を多く抱えている。今後、ウェイモの完全自動運転車が公道を走るに当たって、同社は車両のコンディションを常に最高レベルに保つことをサポートしてくれる」とウェイモのCEO、ジョン・クラフチック(John Krafcik)は声明の中で述べている。
自動運転技術の商業化を目指すウェイモにとって、今回のAutoNationとの提携は最新のニュースだ。ウェイモは、アリゾナ州フェニックスの郊外で、住民を対象とした自動運転車のテスト「アーリー・ライダー・プログラム」を展開している。同社は、このテストに使用されている車両の保守・管理で、レンタカー大手の「エイビス(Avis)」と提携している。
ウェイモは先日、カリフォルニア州アトウォーターにある秘密のテスト施設、通称「キャッスル(城)」でメディアツアーを行った。その際、クラフチックは、グーグルの8年間に渡る自動運転技術開発の成果を商業化する時期について、「そう遠くない」と述べた。
「我々の目標は、完全自動運転車に公道を走らせ、一般の人々に利用してもらうことだ。その実現は間近に迫っている」とクラフチックは記者に対して述べた。
ゼネラルモーターズやフォード、トヨタ、テスラなどの自動車メーカーをはじめ、多くのテクノロジー企業やサプライヤー、スタートアップなども独自の自動運転技術の開発を進めている。ディーラー各社が先行きを不安視する中、自動運転車メーカーの中でディーラーと提携を結んだのは、ウェイモが初めてだ。