世界の富豪を魅了し続ける隠れ島、ラナイの魅力

世界屈指の眺望と共に食事を楽しめるレストラン「VIEWS」(photographs by Yoko Inoue)

港に大きな船が停泊すると、地元の人々は「彼が来ているな」と察するという。オアフ島の南東、マウイ島からわずか14kmの距離にあるハワイ6島で最少人口の島、ラナイ。約3000人の島民が暮らすこの地が「プライベート・アイランド」と呼ばれる所以は、19世紀からの民間所有の歴史にある。

総面積約360平方キロメートルの島は現在、98%をオラクルの創業者、ラリー・エリソンが所有(2%は国有)。2012年から同島を所有するエリソンの構想は、ラナイを100%持続可能な開発のモデルにすることだ。島内2カ所にあるリゾートホテルを最新の設備に改装(うち1つは改装中)。文化施設や映画館も開業、有機農園の開発に取り組んでいる。
 
絶景で知られるフロポエ湾を見下ろす溶岩台地に造られたマネレ・ゴルフコース。世界屈指の眺望の12番ホールは94年にビル・ゲイツがメリンダと挙式したポイントとして知られる。


ジャック・ニクラウス設計によるマネレ・ゴルフコース(1993年開業)。溶岩台地の上に造られ、12番パー3のホールは海抜45mの断崖にあるティーグランドから60m先の崖上のグリーンへの海越えショット。
 
19世紀後半にモルモン教徒、農場経営者によって所有された島は、22年にパイナップル王と呼ばれたジェームズ・ドールに110万ドルという破格の値段で購入された。戦前は世界シェア20%の大規模パイナップル農園が広がり、多くの日本人、フィリピン人が働いていた。小さな島ゆえに民間所有となり、手つかずの自然が残された。火山岩の影響で赤く焼けたオフロードをジープで走ると、そこには息を呑むような絶景が広がる。

富豪のこだわりが随所に採算を度外視した「楽園」

静かな波が打ち寄せるフロポエ湾を見下ろす眺望が得難いフォーシーズンズ リゾート ラナイは、推定4.5億ドル(約485億円)とも言われる改装費をかけ、昨年2月にリニューアル・オープン。


輝く陽光と太平洋の群青を望む圧倒的なエントランスは時間帯によって刻々と表情を変える。トッド・アベリー・ラナハンがデザインを手がけた。2ベッドルームのアリイロイヤルスイートは1泊$19000。

総客室は213室。約65平方メートルのゆったりとした空間と、最新鋭の設備がゲストを迎えてくれる。全部屋に75インチのLEDテレビ、iPadが設置され、アプリ上でレストランやアクティビティの予約ができる。改装にはラリー・エリソンの意向が大きく反映されたという。

文=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN No.40 2017年11月号(2017/09/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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