英医学誌「ランセット」が世界保健機関(WHO)や各国の大学などと組織する「ランセット・カウントダウン」がこのほど初めて発表した報告書によると、気象災害の多くは暴風雨や洪水が原因だ。これらの災害だけでも、2000年以降46%増加している。
また、気象災害がもたらす経済的な損失は、ますます深刻な問題となっている。2005年に発生したハリケーン「カトリーナ」により米経済が被った損失は約1080億ドルで、1992年のハリケーン「アンドリュー」による損失額のおよそ4倍に上った。
一方、世界では昨年、気象に関連した災害が797件発生。経済損失は約1210億ドル(約14兆円)となり、2014年の損失額である約970億ドル(約11兆円)を大幅に上回った。
以下、気候変動と異常気象が1990~2016年に世界にもたらした脅威を経済損失の規模で比較した(数字は気象災害の発生件数、金額は経済損失額の推計、単位:10億米ドル)。
1990年:412/ 65.6ドル (約7兆4700億円)
1992年:390/ 110.6ドル
1994年:458/ 67.5ドル
1996年:469/ 85.1ドル
1998年:501/ 142.5ドル
2000年:519/ 60.0ドル
2002年:451/ 98.8ドル
2004年:424/ 144.0ドル
2006年:606/ 69.4ドル
2008年:524/ 145. 8ドル
2010年:625/ 115.7ドル
2012年:719/ 161.6ドル
2014年:726/ 97.1ドル
2016年:797/ 129.4ドル
(金額は2016年の消費者物物価指数で調整した実質ベース)