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2017.11.03

トップマーケター3名が実践 成果の出るデジタルマーケティングとは

2017年10月13日に開催された、日本最大級のデジタルマーケティングイベント「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」の会場の様子。

大量の情報を押し付ける「マスマーケティング」から、顧客との関係性を意識した「エンゲージメント・エコノミー」の時代へ──。現在、マーケティングの新しいトレンドとして、企業が消費者と様々なチャネルを通じ、密接な関わりを持つ「エンゲージメント」という関係性が注目を集めている。

世界39カ国・6000社以上で、マーケティングプラットフォーム「Marketo」を提供するマルケトは、この新しいキーワード「エンゲージメント・エコノミー」をテーマに、2017年10月13日に日本最大級のデジタルマーケティングイベント「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」を開催した。スペシャルパネルディスカッションには、エンゲージメントを意識した次世代型のマーケティングを日本で実践する3名の優れたマーケターが登壇。Forbes JAPAN副編集長九法崇雄がモデレーターを務めた同セッションのダイジェストをお届けする。


Forbes JAPAN九法:本日は「エンゲージメント・エコノミー時代の成長戦略」がテーマです。エンゲージメントは、マーケティングに限らず旬なバズワードだと思います。様々な領域で企業と企業や企業と人、人と人のつながりが大事だということを指しているように感じています。本日は、日本の優れたマーケターである皆さんとエンゲージメント・エコノミーについて、マーケティングの未来についてお話できたらと思います。

まず、最初の質問は「新しいユーザーを増やすにはどのようなアプローチが必要か」という、マーケティングの本質に関わる問いです。これについてどうお考えですか。

富士フイルム板橋:当社は長年、写真に関連したビジネスを柱にしていました。ですが近年は他の市場に進出し、写真の会社とは言えなくなっています。しかし、写真以外の製品を開発する場合でも、写真で培ったビジネスモデルやテクノロジーを応用しています。

新しい市場でビジネスを成功させるにはマーケティングが重要になります。当社では、デジタルカメラの写真を使ってオリジナルのアルバムを1冊から作成できるサービス「フォトブック」を提供するに当たり、それ以前には存在しなかった個人向けの写真集市場をつくることが必要になりました。そこで、今までと違う写真の楽しみ方や見せ方をするにはどうしたら良いのかを考えました。

検討の結果、雑誌に近い個人向け写真集を開発しました。それに合うよう、特別に新しい紙をつくったりもしました。撮影したたくさんの写真からフォトブックに掲載する写真を容易に選べるよう、AI(人工知能)のような機能も開発しました。

最初のうちは「紙がペラペラ過ぎる」などのお声をいただき、問題が解消するよう開発とターゲティングを繰り返しました。その結果、多くの方に使っていただけるサービスをつくることができました。

VAIO花里:VAIOの花里です。マーケティングや広報、セールスなどを担当しています。ソニー時代は、個人のお客様をメインに商品を販売していましたが、2014年にスピンアウトしてVAIO株式会社が発足して以降、事業構造を転換し、法人のお客様が中心になりました。このターゲット変更に対応すべく、マーケティングに力を注いでいます。

パソコンは世界中の誰もが使うものです。だから汎用的につくりがちですが、実は日本の企業ユースでは特殊な要件が多くあります。例えばディスプレイ接続の端子として現在一般的なHDMIに加え、VGAを使いたいという企業が多くあります。そうした要件を丁寧にヒアリングして掴んでいきました。デジタルに全く関係ないベタなことです。

こうした努力の結果、現在は7割ほどが法人のお客様です。割合を完全に逆転させることに成功しました。

トラストバンク武内:トラストバンクの武内です。当社はIT事業を手掛けており、「ふるさとチョイス」という名称のふるさと納税総合サイトを開発・運営しています。契約した自治体のふるさと納税に関するお礼の品の情報や、納めた寄付金がどのように使われているのかといった情報を検索できるようにしています。

当社の場合、新しいユーザーの方に興味を持ってもらうことができたのは、マスメディアの紹介が大きかったと感じます。よく取り上げてもらえた理由は他社に先行してサービスを提供・拡大できたからです。

自治体と契約を結ぶにあたって、一番の課題はITリテラシーが低い自治体が多かったことです。ネットに繋がっていないところもありました。こうした自治体の相談に乗り、一つ一つ問題を解決したことで契約に漕ぎ着けました。そして他社に先駆けて契約を増やしたことによってメディアに紹介され、そのことでさらに契約が増えていきました。

マーケティングの出発点は、「ユーザーの声」


富士フイルム株式会社 e戦略推進室 室長 板橋 祐一 氏

Forbes JAPAN九法:皆さんのマーケティング実践にに共通するのは「ユーザーの話に耳を傾ける」という部分ですね。ありがとうございます。続いて2つ目の質問に移ります。「ユーザーをファンにするためには何が必要か」です。1回ではなく、2回3回と使っていただくにはどうしたら良いのでしょうか。

富士フイルム板橋:お客様がフォトブックを作りたくなるようなタイミングでメールをするようにしています。例えば子どもが1〜3歳の誕生日が来るタイミングです。また月に1回、「こんな写真を撮るといいですよ」というアドバイスのようなメールを送るようにしています。例えば、初めて歩いたときはこのアングルで撮りましょう、といった具合です。

VAIO花里:法人向けの事業の場合は、実は個人向けと大きく考え方を変えていません。「個人の集合体が企業」だと考えるようにしています。従来からのファンとのエンゲージメントを高めるためにファンミーティングを開いたり、よく目に付くように量販店の目立つところに展示して販売員にしっかり説明させる、といったことに力を入れています。


株式会社トラストバンク 経営戦略企画グループ グループリーダー 武内 一矢 氏

トラストバンク武内:ふるさとチョイスは“点”ではなく“面”でマーケティングするようにしています。“点”である部分だけを比較するように見せてしまうと、日本一良い商品でないとリピートされないことになってしまいます。それを“面”にすることで、様々な魅力が付加されるんです。例えば高知県の四万十町のうなぎの場合、なぜ美味しいかを説明したり、その地域の歴史的背景、納めていただいた税金の使い道などを丁寧に説明しています。

マスマーケティングでは掴めない「人の心」

Forbes JAPAN九法:では最後の質問です。「大量の情報が飛び交う中でユーザーに刺さる情報を届けるにはどうしたらいいか」です。日々大量のメールを送っていると思いますが、どうやったら開封してもらえるのでしょうか。

トラストバンク武内:メールについては改善・改良している段階ですが、マルケトを利用してワン・トゥー・ワンのマーケティングを進めていきたいと考えています。ふるさとチョイスの場合、ユーザーの特性上メールを読まない方やパソコンを使わない方も多くいらっしゃいます。その場合はリアルな場所での対面のコミュニケーションも取り入れています。


VAIO株式会社 執行役員 花里 隆志 氏

VAIO花里:今年6月、働き方改革支援サイト「Work × IT(ワーク・イット)」を開設しました。我々のお客様の多くが、特にIT関連のお仕事をなさっているお客様が最も関心があるテーマが働き方改革だと思います。当社は発足以来、働き方改革を実践してきました。ここで得たノウハウをお客様のお役に立てることができればという思いでサイトを作りました。まず働き方改革自体に関心のある方に読んでいただき、もしVAIOにも関心を持っていただけるようならサイトに登録してもらったり、メールの許諾をいただけるならご案内を送ったりします。Marketoとも連携し、一人ひとりのお客様がどのようなところに関心を持っているかを分析しています。

Forbes JAPAN九法:板橋さんにお伺いしたいのですが、2016年にフジカラーの年賀状のCMを辞めましたよね。30年続けてきたCMを辞めたことはマスマーケティングがうまくいかなくなった象徴のように感じたのですが、いかがでしょうか。

富士フイルム板橋:年賀状のCMには二つの意図があって、季節感の演出と、写真入りの年賀状を初めて作ろうか考えている方に呼びかけるためでした。前者については日本郵便のCMが増えてきたので、そちらに任せていいのではないかと考えました。後者については、写真年賀状を出す人は年賀状全体の1割程度であり、デジタルマーケティングを使ったほうがより的確にメッセージを届けられると考えたからです。

Forbes JAPAN九法:4月にサンフランシスコで取材したとき、「最近の新たな取り組みとして、eメールとアナログの郵便を組み合わせる試みをしたところ、非常に高いエンゲージメントが得られたというような結果も得られている」といった話を聞きました。

結局、どういったマーケターが成功するのかを考えてみると、「人間のことを深く理解している人」であると、今日のお話を聞いていても感じました。マルケトのスティーブ・ルーカスCEOも、同様のことをお話しされています

彼は、「マーケターには、サイエンティストとアーティストの両面が必要なんだ」と言います。「サイエンティスト」はデジタルツールを駆使しデータ分析する能力、「アーティスト」は人の心を深く理解することを指します。デジタル全盛の時代、ついついデジタルツールを重視しがちになります。そんな時代だからこそ、人の心を深く知るところから考えてみるといいのではないか。そうしたアプローチこそが、次世代のマーケターの姿であると思います。


武内 一矢 (たけうち・かずや)◎株式会社トラストバンク 経営戦略企画グループ グループリーダー
花里 隆志(はなざと・たかし)◎VAIO株式会社 執行役員
板橋 祐一 (いたばし・ゆういち)◎富士フイルム株式会社 e戦略推進室 室長
九法 崇雄(くのり・たかお)◎Forbes JAPAN 副編集長

Promoted by Marketo 文=吉田洋平

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