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国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル

上海では繁華街から下町までどこでも配給され、乗り捨てられている。好きなときに乗って、どこでも手放せる自由さは、中国人の都市生活の行動パターンを変えつつある。

今夏、中国のシェアサイクル大手のMobike(摩拝単車)やofoが日本に進出するニュースが話題になった。

中国語で「共享単車」と呼ばれる有料レンタル自転車は、都市部を中心に驚くほどのスピードで普及した。日本では到底考えられない「どこでも乗れて、どこでも乗り捨てできる」サービスが特徴で、去年の秋頃から一気にである。

今年3月に上海に行ったとき、1年前にはそれほど見かけなかったシェアサイクルが突如、街中に大量出現している光景が強く印象に残った。地方都市の南京にも足を延ばしたが、同様の光景を見かけた。

外国人も利用していた。この種のサービスは一般にコミュニティの外から来たよそ者こそ重宝する。街を自由気ままに散策するのは旅行者の習性であり、楽しみである。ただし、このサービスを利用するには、中国に銀行口座をつくり、WeChatPayのような中国独自のモバイル決済アプリとひも付ける必要がある。ちょっとした出張程度の中国滞在では、そこまでするのが面倒で使いづらい。

だが、中国では一般の都市住民が利用しているのだ。地下鉄駅から職場までの「最後の1km」(で使える利便性)が合言葉で、ちょい乗りされることが多い。実際、オフィスビルの周囲は乗り捨てられた自転車であふれている。


たいてい自転車のサドルの下にQRコードが付いていて、利用者はスマホでスキャンして鍵を開ける。スマホに料金や利用距離、消費カロリーなどが表示される。

なにしろ料金が安い。上海では日本に進出したMobikeとofo以外にも数社のシェアサイクルを見かけたが、料金では小鳴単車が最も安く、なんと30分間以内なら0.1~0.5元(2円~9円 ※ちなみにMobikeは30分で9円~17円、ofoは1時間で17円)。最初に保証金(99元~299元、1700円~5100円)を預けなければならないが、これなら社会が自転車インフラをシェア(共有)しているのも同然だ。

なかには電動自転車を供給する享騎単車のように車種の多様化も見られ、各社は差別化しながら個性を競い合っている。

驚いたのは、配給した自転車の利用率を高めるためだろう、夜遅くに大型トラックが自転車を適所に運び去るため市内を走り回っていたことだ。なるべく利用者の多い地区に自転車を再配置しているのだが、これが可能となるのは、すべての自転車の位置がGPSで捕捉されているからだ。

今年7月までに中国全土で1600万台もの自転車が街に投入されたというから、街頭での自転車の氾濫を引き起こしていることも確か。だが、中国はかつての「自転車大国」。通りも広く、自転車専用道路もそこそこあり、歩道上に駐輪用スペースも多く設けられている。我々に比べ「小さなことは気にしない」彼らの感覚ではそれほど深刻な問題でもなさそうだ。

シェアサイクルは中国人の意識を変えるとも言われている。なぜなら、すべての自転車の位置と利用者の情報を配車アプリ企業が握っている以上、乱暴に扱うことも、盗むことができないからだ(中国の場合、それは国家が握っているという意味だ)。それでも、実際には盗難事件や大量廃棄問題などが起きていることや、21世紀型の監視国家を連想させると指摘する海外メディアもあるが、大勢としては、中国人が苦手とする公共性を身につけるにはうってつけの社会サービスなのだという。

文・写真=中村正人

 

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