ビジネス

2017.11.14

ドルが流通する新興国、カンボジアに訪れるフィンテックの波

Pi Payのサービス店舗


少し話はそれるが、カンボジア国内の通貨についても、補足として説明しておきたい。カンボジアには「リエル」という自国通貨があるが、実際に流通しているものの大部分は「米ドル」となっている。Pi Payのチャージ上限の単位が、ドルとなっているのもそのためだ。


米ドルとリエル

「通貨が米ドルなどで、海外投資家にとって、為替リスクや参入障壁が他のアジア新興国にとって低いのもカンボジアの特徴です。言い換えれば、カンボジア政府や中央銀行が独自の金融政策を取れないというデメリットもありますが、お金の流れという意味で考えると非常にユニークな国です。アメリカの州が、アジアにぽつりとひとつあるというイメージでしょうか。そんな国でフィンテックサービスがどう発展していくか。カンボジア国内の人々の暮らしが変わることもそうですが、グローバル的な見地からも注目だと思います」(現地在住の日系ビジネスマン)

新興国とお金と聞くと、どうしても連想してしまう話題がある。マネーロンダリングだ。カンボジア内務相の政府役人O氏からは、次のような話もあった。

「カンボジアの刑務所に収監されている犯罪者には、多くの外国人が含まれています。主な罪状はマネーロンダリングと麻薬です。国のイメージを変えていくために、それらの犯罪を厳しく取り締まっています。カンボジアは最近、OECDにも加盟しました。本当に発展したクリーンな国になるために、国際社会との協調や国内制度の拡充を進めていきます」

フィンテックはカンボジアの国民生活を変化させ始めているが、今後は社会や国家の資金の流れを健全・透明化することに寄与していくのだろうか。カンボジア×テクノロジーの未来に注目だ。

文=河鐘基

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事