ビジネス

2017.11.14

ドルが流通する新興国、カンボジアに訪れるフィンテックの波

Pi Payのサービス店舗

「配車アプリ」が続々登場しているカンボジアだが、現地の人々に重宝されているITテクノロジーは他にもある。電子マネーなど「フィンテック」はその代表格だ。

カンボジアでよく使われている電子マネーには、「Wing」と「Pi Pay」がある。それらの使い方は、日本の「Suica」を想像してもらえると理解しやすいかもしれない。基本的には、お金をチャージして、サービス加盟店舗で決済に使うというものだ。Suicaは切符販売機でチャージするが、Wingの場合はプノンペンのいたるところ(体感だと500mおきの間隔)に入金を行ってくれる加盟店舗があった。Pi Payも同様だが、加えて街中に「PayGO」というチャージ端末がある。


Wingのアプリ

またWingとPi Payには、日本の「LINE Pay」「Yahoo!ウォレット」、中国「WeChat Payment」のような「個人間送金」を行う機能もついている。特徴的なのは、クレジットカード情報を登録する必要がないという点だ。スマホがあり、登録だけ済ませれば、街中で簡単に入・送金が可能となっている。日本に留学経験のあるカンボジア青年C氏は言う。

「カンボジアはまだ、日本や先進国のように銀行間の連携が成熟していません。プノンペンから田舎にお金を送るのも一苦労です。ですが、電子マネーを使えば、スマホで仕送りをするなど、簡単に送金することができます。それにカンボジアではまだ、クレジットカードを持てない人も少なくありません。電子マネーにすれば、大金を持ち歩く際も便利です」

C氏によれば「カンボジアで一般向けのフィンテックサービスが広く使われるようになったのは、ここ1年くらい」とのこと。いまでは多くの人が普通に使っており、「お金のやりとりがずいぶんと楽になった」と感想を話していた。


そこかしこにあるWingの加盟店舗

Pi Payのチャージ上限は5000ドル。サービスを通じて決済すると、いろいろな商品の割引も受けられる。直近の資料だけ見ても、ドミノピザ30%オフ、ロッテリア20%オフ、アディダス5%オフなど、かなり大掛かりなサービス提供が行われている。なおPi Payサービス普及にはマレーシア銀行大手「CIBM」とドイツ決済サービス事業者「ワイヤカード」が協力しており、今後、他の国におけるシェア拡大も期待されている。
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文=河鐘基

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